藤井真治(まはる)大尉が特攻出撃前に記した遺書と手紙は次の通り。(宛名、署名は省略)【4月2日】▼家族全員宛て之(これ)から第一八幡護皇隊員として特別攻撃に出発します。必死必中体当り。隊長として行きます。親不孝ばかりして来ました。父上、母上を始め皆健康第一強く生きて下さい。茜(あかね)さす東の国に生れける その悦(よろこ)びをその悦びを【2~4日ごろ】▼海軍入隊中の弟・治美さんへ送ったはがき元気か。うんとやってくれ。茜さす東の国に生れける その悦びをその悦びを神州不滅必勝を信ず。【5日】▼家族全員宛て永い間親不孝しました。飛行機乗の最后(さいご)らしく特攻隊の一つの隊長として出撃します。必勝を信じます。新潟と都城に疎開の由、都城は早く疎開しないと汽車がだめになりますよ。敵は沖縄をとると九州の鉄道は全部不通になります。全部都城に行くもよし。半分新潟に行くもよし。どうでもいいです。都城に行った方がよくはありませんか。とにかく忙(いそ)ぐことです。最后に当り淡々としてユーズー自在、ムダ死はしません。必ず空母を沈めます。皆元気でコマカイことに気を使はずうんと頑張って下さい。都城が危ければ一万城に行けばいいです。では、施本のお父さん宛の手紙も届いたことと思います。例の如く冗談の様にして笑ひ乍(なが)ら出撃します。しっかりしっかり頑張れ。【6日】▼「藤井御一同様」宛て今日は四月六日愈々(いよいよ)本日午後特攻をかけます。沖縄の敵艦めがけ必死必中。残った者も頑張って下さい。弱い気を出さず張切って張切って。▼弟・治史さん宛て治史へ。皆と仲よくして頑張れ。いつまでも守ってあげるよ。▼弟・治芳さん宛てはるほくん。おてがみありがとう。しっかりがんばって下さい。いつまでもまもってあげるからね。▼3人の妹宛てみや子へ。強く明るく頑張れ。みち子皆と仲よくやれよみほ子しっかりがんばれ三人とも僕がまもっているから大安心だ。
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