別府八湯をはじめ、数多くの温泉地を抱える「温泉天国・おおいた」。人にあまり知られていない秘湯、古くからの名湯、最近売り出してきた人気スポットなど「ちょっと気になる」温泉を、温泉好きの記者が訪ね歩き、入湯客などと触れ合いながら現地からの入湯体験をリポートします。温泉好きのあなたには見逃せない企画です。
※大分合同新聞 夕刊1面 2002年4月17日~2008年3月27日掲載
「ここはどうか」。取材の候補地として先輩カメラマンが見つけてきた今回の温泉。資料を見ると、”地獄””泥湯””混浴”という魅惑のフレーズの数々。「いいですねぇ」。迷わず決めた。 田畑に雪が残る竹田市を抜け、県境を越えて阿蘇へ。国道57号...
熊本県菊池市隈府(わいふ)一帯にある菊池温泉。2004年10月に湧出50周年を迎えたばかりで、評判の温泉地として広く知られている割に、その歴史は浅い。ツルツルとした泉質は「化粧の湯」として女性に人気の温泉地だ。 今回は、酒樽(だる)を...
午前7時。うっすらと朝もやに包まれた住宅街に、どこからともなく「ザッ、ザッ」とスリッパの音が響く。一番風呂の常連さんらが洗面器片手に、番台の前に顔をのぞかせた。「おはようございまーす」。別府の1日が始まった。 ここはわたしの故郷、亀川...
別府市中島町の住宅街にひっそりとたたずむ温泉旅館があると聞き、車に乗り込んだ。地図で場所を確認。辺りでは数少ない旅館のようだ。路地を進むと、小学校のグラウンドと民家しか見当たらない。不安になって地図を確かめた。「やっぱりここだ」。「旅館た...
三寒四温とはよく言ったもの。春の足音が聞こえる弥生3月というのに、にび色に染まった空から雪がちらつく。「いやいや、絶好の”温泉日和”だ」と思い直し、男湯ののれんをくぐった。 天然温泉大浴場「いこいのゆ」は、JA杵築市の総合福祉施設「い...
「温泉取材、行って来い!」と、上司からの出動命令。「え!温泉ち、あんまり好きじゃねぇけど…」―気持ちを”整理”して、先輩カメラマンと一緒に訪れた先は、別府市にある天満温泉。天満地区が管理する掛け流しの温泉だ。 取材当日はあいにくの雨。...
屋内に入ったら、まずはゆっくりと天井を見上げてほしい。 社長の中尾勝則さん(60)がこだわり抜いた黒々とした丸太が至る所に生かされている。どっしりとたくましく、そして優雅さも漂う梁(はり)は、その圧倒的な存在感で歓迎してくれるはずだ。...
そろそろ当欄の担当が回ってくるころ。「いいお湯はないかなあ」と国道10号を車で走っていると、沿道に並ぶ黄色の看板が目に飛び込んだ。「あずみの湯開店」の文字。「へえ、ここに温泉あったんだ」。ぶらり立ち寄ってひと風呂。「これはいける」と思い、...
ホーホケキョ。この季節になると、ウグイスの鳴き声が聞こえてくるという。ゆったりと貸し切った湯船に1人つかれば、何とぜいたくな時間が過ごせることだろう。 ここ湯坪温泉にある「御宿泉水」は、1975(昭和50)年オープンの宿。...
春風薫る由布市湯布院町。昨年の春は家族で散策に訪れたが、温泉に入ることはかなわなかった。「久々の温泉取材。静かな温泉に入りたいな」。町中から離れて由布岳のすそ野へと車を走らせた。 JR由布院駅から北東方向に約1・5kmの川上地区。...
桜の花も散り、緑が「ひょっこり」と顔を出し始めた。静かに揺れる湯面に、新緑が映える季節。見上げると、満天の星空が広がっていた。「ああ、最高だ」。石塔の柔らかな光が、心を落ち着かせてくれる。 別府市のホテル白菊にある「菊湯殿」。「露天風...
1年間の出向命令を受け、東京に向かったのは昨年の春。1カ月もしないうちに”禁断症状”が表れた。「お、お、温泉に入りたい!」。ゴールデンウイークにはたまらず近郊の温泉に出掛けた。意識してなかったが、オレはそんなに温泉好きだったのか… で...
汗ばむ季節になってきた。湿り気をたっぷり吸い込んだ新緑の山々が、中津市街地から見渡せる。「森林浴」の3文字が浮かぶ。早速、ハンドルを握った。 秋の紅葉とそそり立つ奇岩群で有名な中津市耶馬渓町の一目八景。山々は「これぞ生命力!」とうなり...
湯上がりの火照った素肌に風が触れると、ひんやりと心地よい。わたしにとっては温泉のベストシーズンが到来した。「さて、どこへ行こうか」とぼんやり考え、以前、知人から聞いた話を思い出す。豊後高田市の旧真玉町エリア中央にある猪群山の登山をした時、...
観音の里はログハウス宿泊や釣り、食事などができるリゾート施設。「海のそばに癒やしの場所をつくりたくて2003年にオープンしました。家族経営でお客さんとのアットホームな雰囲気を大切にしています」と、”おかみさん”の甲斐幸江さん(45)。...
29度、31度、32度…。暑い、暑い、とにかく暑い。日田支社に赴任して約3カ月。1日に少なくとも3回は温度計に目をやるのが日課になった。数字を気にしたところで、暑さが和らぐものでもないのだが…。汗ばむ体をリフレッシュしようと、4月にオープ...
いきなりですが質問です。あなたが温泉を選ぶ基準は? 泉質、効能、湯船、風景などさまざまだと思いますが、今回は温泉通のあなた、欲張りなあなたもきっと満足できる温泉を紹介しましょう。 まず一番の売りは”絶景”。...
世の中、ちょっとした名水ブームらしい。休日には天然のわき水をくみに出掛けるという人も多いし、「ご飯を炊いたり、コーヒーを入れるのも、いい水だと全然味が違うのよ」と話す知り合いもいる。とはいえ、水道水とミネラルウオーターの違いもぴんとこない...
社会人になって、学生のころは毎年当たり前だった夏休みが少なくなり、2年目。今年の夏も「南の島のリゾートでのんびりバケーションを楽しみたい」と夢見ながらも、いつの間にか過ぎ去ってしまうのだろうか…。 いやいや、そこは別府。時間もお金もな...
「夏休みを取って、旅行にでも行きたいなあ」と思っていた矢先に舞い込んだ温泉取材。ちょっと遠出して県境まで…。”夏・日帰り温泉の旅”に出掛けた。 胸躍らせながら訪ねたのは、熊本県・黒川温泉郷のすぐ南に位置する、南小国町の白川温泉「竹ふえ...
「ひなびた温泉街」―、こう表現するのは適切なのだろうか? 田舎らしいたたずまいが残る山あいにある長湯温泉。変に「洗練」されているより、よっぽどいいと個人的には思っている。 長湯温泉は5月、九州では初めての「源泉掛け流し宣言」をした。読...
豊後大野市によると、市内には温泉がないそうだ。しかし、市職員は「温泉はないが、持っています」とニヤリ。どういうこと? 旧緒方町が旧直入町に所有し、町村合併で豊後大野市に引き継がれた施設がある。そう。「豊後大野市の温泉は長湯にあり」―。...
青く澄んだ湯を前に、しばし心を奪われた。大空を連想させるような透明感のある淡い青さには、人工物ではなし得ない神々しい美しさがあった。 露天風呂の底面は沈着した温泉の成分で白くコーティングされ、湯がたたえた青味を一層引き立てている。 ...
サイレンの音が聞こえる。消防署に電話すると「出動してません」。警察担当の記者になってから時々あるこんな”幻聴”。そんな折、入社1年半にして初めて温泉取材が舞い込んだ。せっかくなので、サイレンも幻聴もない遠くの温泉でゆっくりしたい。県境を目...
「やった。別府だ。温泉だ」―。立ちのぼる湯煙を横目に見ながら、わたしが新入社員として、この地にやって来て約半年。温泉に漬かる機会はなく、あこがれの気持ちは募るばかり。 やっと巡ってきた温泉取材。「この機会を生かしたい」と別府の温泉から...
宇佐市の安心院盆地にそびえ立つ、高さ28mの深見五重の塔。朱塗りの塔の近くに粋な温泉がある。なかなか足を運べずにいたが、次に当欄を担当するときはここと決めていた。 同市安心院町中心部から由布市方面へ車を走らせて10分ほど。迎えてくれた...
暑さもすっかり和らぎ、秋の訪れを感じさせる心地よい風が山あいから吹いてくる。ここは九重町町田の生竜温泉・七福。九重ICから国道387号を小国方面におよそ10分。生竜トンネルのすぐ横にある。 天然温泉掛け流しの半露天風呂、内風呂、足湯と...
数ある温泉の中から取材先を決めかねていた時、「温泉本などで紹介されてないけど、常連の多い温泉」と聞いたのが、ここ鶴川温泉。興味を引かれ、訪れてみた。 温泉は、町の中心部から立羽田の景方面へ向かう途中、のどかな山あいの集落の一角にあった...
国道210号から車は山道へ。枝のトンネルから落下したクリをタイヤで踏みながら”秘湯”を探すドライブは終点へ。着いたのは集落の中の1軒。なぜかどこにも看板が掛かっていない。湯屋はスレートぶきでコンクリートの武骨な造りだ。 入浴して意外に...
「チャボ優先。笑ってお譲りください」。到着してまず目に入ったのがこの看板。旅館の玄関前にある鳥小屋の周りでは数羽のチャボが悠々と散歩中だ。一風変わった出迎えに面食らいつつ、ゆったりと時間が流れる素朴な温泉宿への期待が高まる。 大分との...
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