別府八湯をはじめ、数多くの温泉地を抱える「温泉天国・おおいた」。人にあまり知られていない秘湯、古くからの名湯、最近売り出してきた人気スポットなど「ちょっと気になる」温泉を、温泉好きの記者が訪ね歩き、入湯客などと触れ合いながら現地からの入湯体験をリポートします。温泉好きのあなたには見逃せない企画です。
※大分合同新聞 夕刊1面 2002年4月17日~2008年3月27日掲載
六郷満山文化が色濃く残る「仏の里・くにさき」。その仏の里で極楽気分を味わえる温泉郷が国見町の山里にある。昔から地元の人たちに愛され続けてきた赤根温泉だ。 2つの宿泊施設があるが、今回は地元の人たちがよく通っている「湯の里・渓泉」を訪ね...
岩風呂、うたせ湯、展望風呂…。気分次第で好きな温泉が選べます。 別府八湯の堀田と鉄輪、明礬のちょうど中間、小倉地区にある「扇山会館」では、内湯を含めて4つの温泉が楽しめる。「体調や一緒に来る人でお薦めの楽しみ方はいろいろ」とオーナーの...
「前を車で通り掛かったけん、ちょいと寄っちみた」「あんた、寄るだけじゃねえで、入っちみらな」「入っちみらんと話にならんで」「タオルは、こきあるで。入ろうえ」「最初やあに、せっけんもシャンプーもちゃんとあるわ」「ようしちょるなえ」 大分...
今や由布院温泉をしのぐ勢いで人気の高まる黒川温泉。以前から訪れてみたかったが、機会を逸していた。当番が回ってきたところで、迷わずここに決めた。 適当な風呂はないかと雑誌をめくっていると、”創業300年”の文字。古い! 多分、黒川温泉嚆...
竹田市へはこの春、赴任した。まだ地図が手放せないが、開くたびに気付くのが市内の温泉の豊富さだ。 今回の取材場所を選ぶに当たり、参考にしたのが、竹田直入温泉連絡協議会が発行したガイドブック「奥豊後温泉文化伝」。「地元の人に愛され続けるこ...
ストレス社会の現代。癒やし系なる言葉が生まれ、ペットに安らぎを求める人が増えている。愛犬家が喜ぶ温泉施設が挾間町時松の静かな山あいにあると聞き、早速車を走らせた。 山腹を開墾した標高350mの施設は、南に広大なくじゅう連山を望むぜいた...
晩秋の夕暮れ時、宇佐平野から西空を仰ぐと、峰々から突き出たこぶのような山の向こうに太陽が沈んでいくのが見える。日本書紀の時代から、信仰の山と言い伝えられてきた求菩提(くぼて)山だ。 526年、猛覚魔卜仙(もうかくまぼくせん)という宗教...
記者 ここの公園どう? 福岡市から来ていた大学生グループ キャンプに来て温泉に入れる。それにカヌーや釣りなどのレジャーも楽しめるし、近くにホタルの名所もある。1粒で5度おいしい場所ですね。 記者 君たち、粋なセリフを言うじゃないか...
つま先からそろりと湯に入り、ゆっくりと身を沈めた。首までつかって、目を閉じた。 「フーッ」 仕事や人間関係…。「よだきいなぁ」。いつも頭の片隅にあるもやもやした思いが、大きく吐き出した息に交じって、どこかへ飛んでいった気がした。 ...
本当にここでお湯を流していいの…?。そう感じない日本人は少ないだろう。浴場の扉を開けて「は~?」と絶句。そこは一面”畳の間”だった。 驚きの温泉は、福岡県杷木町の原鶴温泉「ホテルパーレンス小野屋」の畳風呂。露天風呂や大浴場、家族風呂な...
時がたつのは想像以上に早い。新入社員として別府支社勤務になって、3カ月半が過ぎた。希望を抱いて始まった1人暮らしと記者生活。毎日温泉ざんまいだ?と思っていたものの、新人にゆっくりと温泉につかっている余裕などなかった。 休む暇もなく取材...
10日に集中豪雨が襲った九重町。湯量豊富な「日本一のうたせ湯」で知られる山あいの筋湯温泉郷では、一部の旅館などが濁流による被害を受けた。あれから半月。飯田高原を車でひた走り、急ピッチで復旧作業が進む温泉街を訪ねた。 「もう大丈夫。九重...
杵築市猪尾の杵築市健康福祉センターの一画。「温泉浴場」の小さな看板の向こうに、入湯料を入れる貯金箱のような箱がポツンと置かれている。三角屋根の木製箱に入れる入湯料は自己申告制。お世辞にも観光客でにぎわう温泉とは言い難い。 それでも、年...
「耶馬渓の温泉郷でゆっくりくつろげる 純度100%の掛け流し温泉」―。キャッチフレーズに引かれ、訪ねてみた。 アースカラーの建物が、緑豊かな景観に調和している。中に入ると、広々としたホールに明るい光がそそぎ込む。「ここは、自然の風景を...
この時期、由布院温泉は温泉の恵み、豊かな自然を満喫しようと多くの観光客でにぎわう。そんな中、健常者も車いす利用者も気軽に温泉を楽しめる完全バリアフリー設計の温泉があると聞き、湯布院町川上の「湯布院やわらぎの郷・やどや」を訪ねた。 「や...
車で前を通るたびに気になっていたが、この取材のために”楽しみ”を後に取っていた。心の準備を整えて、ことし3月にオープンした妙見温泉へ。 宇佐市中心部から国道387号に入り、安心院・院内町方面へ車で約10分。周囲は山や田んぼ…のどかな風...
五馬高原に吹く風は、秋の気配が濃くなっている。川沿いに並ぶ天ケ瀬温泉街から山手に上り、緑の中を進むと目指す「ゆうやけの湯」が見えた。 ここから見た景観の素晴らしさにほれて、代表の谷口昇さん(48)は13年前に福岡県から移り住んだ。別荘...
湯布院町下湯平に、少し赤みがかったお湯でひそかに人気を集めている温泉があると聞き、早速、足を運んだ。 大分市内から国道210号を湯布院へ向かい、庄内町を抜けてしばらくすると、左側に「幸せの湯」の文字。青地に白く大きな看板だが、気を付け...
「たまには、電車の旅もいいもんだ。目的地が、温泉ならなおさらだ」。JR日豊線で宮崎県の延岡駅へ。高千穂鉄道に乗り継ぎ、目指すは、全国でも珍しい「駅舎に温泉がある」という日之影温泉駅。ガタン、ゴトン…。名物のトロッコ列車「神楽号」は、自然豊...
瓦版屋の岩助が悪友たちと湯治に出かけた。選んだのは、小国町で最も高いところにある温泉場。熱い湯は苦手という岩助をからかうため、悪友は岩助を宿の部屋から閉め出し、「湯に30分つかるまでは戻っちゃならねぇ。後でのぞきに行ったときに湯に入ってな...
小学生のころ、学校の帰り道に棚田を1段1段飛び降りながら帰るのが楽しみだった。ランドセルを下の田んぼに投げ下ろし、身軽になった体で思い切り飛ぶ。着地した所に水がたまっていて靴を汚すこともしばしばだったが、それもまたいい思い出。 日田市...
「湯ったりおおいた」がスタートしてはや4年。紹介していない温泉も減ってきた。そんな風に考えている時に限って、お鉢(取材担当)は回ってくるもの。「先日、利用者50万人を記録した”あの温泉”はどうだろう」 大分合同新聞社豊後高田支局から車...
最近、足の親指が「ピキリ」と痛むことがある。原因は分かっている。実りの秋、各地でイベントは盛りだくさん。仕事が終わると、「アー、疲れた」と、ついつい冷蔵庫を開け、ビールを取り出す。このままでは「風が吹いても痛い」という、困った病気が本格化...
潮騒が聞こえる風呂―。それが「パゴパゴ村」の塩湯だ。豊後水道が洗う九州最東端・鶴見半島の付け根。「ざざぁ、ざざぁ」と打ち寄せる波の音を聞きながら湯に漬かるなんて、海の町ならではの醍醐味(だいごみ)。 佐伯市街から車を走らせ、約20分。...
観海寺温泉の入り口にある、一風変わった焼き肉店を訪ねたのは、ぼちぼち肌寒さを感じ始めた11月も下旬のころである。 懐具合の方も寒々としたものだが、きょうは、ちょっと奮発して上タン塩と上カルビを注文。運ばれてきた肉は赤身に白い霜降り模様...
久しく紅葉狩りに出掛けていない。昨年も計画倒れだった。「ことしこそは」と思っていたが、秋は深まるばかり。あきらめかけながら、この欄で紹介する温泉を探していたとき、先輩カメラマンが中津市耶馬渓町に最近できた温泉を教えてくれた。 「紅葉狩...
はらはらと舞う粉雪。イルミネーションとカップルをちらりと横目に、取材用のカメラが入った重たいバッグを担ぎ直して、コートの襟を立てた。 クリスマスが近づき街が浮かれ出すと、何だか寂しい気持ちになるのはわたしだけ? こんな時はカサつく肌と...
例年にない寒さの続く今冬。「体のしんから温まる温泉につかりたい」と、以前勤務した湯布院(現在は由布)支局時代にお世話になった由布市湯布院町へ。米田誠司由布院観光総合事務所事務局長(42)の紹介で、日の春旅館(町内川上)の千人風呂を訪ねた。...
大雪の数日後。耶馬渓へ車を走らせる。道すがら、なぜか野生のサルを思い浮かべた。雪国の山奥の秘湯で気持ちよさそうに湯につかる、あのサルたちだ。目に映る山も森も田んぼもすべて真っ白。こんな日に、あったかな湯に入ればサルたちのように目を細めて極...
「きゅるるるるー、どぉーん」。手の届きそうな至近距離で光跡を描きながら広がるカラフルな大輪。木が邪魔をして半分ほど見えないが、「木漏れ日ならぬ”木漏れ花火”もいいな。それに気付かせてくれた温泉に感謝」。無料開放の露天風呂につかり、1人ほく...
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