別府八湯をはじめ、数多くの温泉地を抱える「温泉天国・おおいた」。人にあまり知られていない秘湯、古くからの名湯、最近売り出してきた人気スポットなど「ちょっと気になる」温泉を、温泉好きの記者が訪ね歩き、入湯客などと触れ合いながら現地からの入湯体験をリポートします。温泉好きのあなたには見逃せない企画です。
※大分合同新聞 夕刊1面 2002年4月17日~2008年3月27日掲載
昼間でも、満月を眺めながら湯船につかることができる―。満ち欠けも、天候も関係ないという。謎めいたうたい文句に引かれ、別府八湯の1つ、観海寺温泉に向かった。 朝見川上流に架かる観海寺橋を渡り、さらに高台に車を走らせると、万病に効くとされ...
夏目漱石や与謝野鉄幹・晶子夫妻ら明治時代の文豪が通った阿蘇外輪山のふもと阿蘇町の内牧温泉へ足を延ばす。国道57号で一の宮町を通過し、交差する国道212号を3kmほど北上すると、映画「黄泉(よみ)がえり」のロケ地で知られる町並みが見えてくる...
熱帯の植物に囲まれ、甘い香りがどこからともなく漂う。ゆったりと時間が過ぎていく。インドネシア・バリ島―。そんな南国の島の雰囲気に包まれた温泉が大分市内にあると聞き、訪ねてみた。 ”楽園”は、JR大分駅から北に約1.3km。サマ・サマは...
正直に言うと、”七福”という名前に引かれ、「何か御利益があるかも」という安易な気持ちで出掛けた。聞けば”黄金の湯”とも呼ばれているとか。それで、一気に”御利益”への期待が膨らんだ。 玖珠町から院内町へ抜ける国道387号から少しそれ、細...
九重町の宝泉寺温泉郷から国道387号を小国方面に向かう。県境を越え、熊本県側に一歩足を踏み入れると、目指す温泉はあった。岩風呂、切り石風呂、樽(たる)風呂、ヒノキ風呂。すべて家族風呂という珍しい温泉だ。 経営するのは、永野繁義さん(5...
宇佐市中心部の四日市から、県道44号を本耶馬渓町方面に15分ほど車を走らせ、麻生大橋の手前で右側の小道に入る。そのまま進むと、ひっそりとした場所に温泉がある。 緑豊かな山々に囲まれ、近くを伊呂波川が穏やかに流れる。田んぼでは、色づき始...
いつの時代も、ビジネスマンは忙しい。 温泉取材のため、このビジネスホテル「シャインホテルくす」にチェックインしたのは、平日の午後5時半。まだ書いていない原稿を山と抱え、他の取材先から直接、予約していたシングルルームに投宿した。部屋番号...
記録的な猛暑が続いたことしの夏も、ようやく暑さが落ち着き、吹く風はもう秋。空が高く感じられる。夕暮れ、車に乗り込み窓を全開。秋風を感じながら天ケ瀬温泉を目指した。 日田市から国道210号を大分方面へ。天瀬町を流れる玖珠川を挟んで両側に...
石畳に沿って旅館が軒を連ね、古き良き湯治場の面影を今に残す湯布院町の湯平温泉街。近くを流れる川のせせらぎやあふれる自然が訪れる人々の心を、温かな温泉が体を癒やしてくれる。 温泉街の入り口から石畳の坂道を進み、途中から脇道の石段を上ると...
相次ぐ台風の取材で雨風に打たれ風邪をひいた。心身ともに絶不調だ。近場で風邪が治るような温泉がないものかと考えていると、同行のカメラマンが「お薦めの温泉があるわ」。体に寒けを感じながら、後に続いた。 その温泉は、大分市中心部の住宅街にあ...
秋晴れの雲一つない空の下、くじゅうの山を見上げていた。首が痛くなるほどに山が大きく見える場所で風呂に入った。眼前の三俣山。秋色から冬色へと、その姿を変えている。空の青さもはっきりと分かり、山と空の境目がよく見えた。 標高1,050mの...
次第に深まる秋。「ちょっと一杯」と会社を出て、商店や事業所が立て込む別府市中心部、北浜かいわいの一角を通り過ぎた。「こんな所にこんな建物が?」。うっそうと茂った木々のすき間から、入り母屋造りの2階建ての和風建築物が目に飛び込んできた。 ...
拝啓 晩秋の候、いかがお過ごしでしょうか。私はなんとか元気にやっております。 さて、先日、家族と耶馬渓までドライブしてきました。紅葉のシーズンは過ぎていたようですが、それでも黄や赤に色づいた木々が、山肌からのぞく奇岩と織りなす景観...
休日にはよく、ドライブがてら県内の温泉へ出掛ける。その時、目的の温泉を決めるポイントの1つが湯船からの眺め。この取材も「飯田高原を一望できる温泉がある」と聞き、訪れてみた。 九州横断道路沿い、飯田高原の小高い丘の上に目的のホテルはあっ...
湯煙越しに拝む御来光。泉都・別府らしい初日の出スポットとして知られる。屋外浴場は、水着着用の混浴風呂とあって毎年、元旦には多くの家族連れらでにぎわうという。 別府市中心街にほど近い市内京町。国道10号から海岸線に目を向けると三角屋根の...
個人的な意見だが、温泉は「お湯に特徴がある」ところがいい。無色透明、無臭、さらっとした「美しいお湯」はちょっと物足りない(そんな温泉の皆さん、ごめんなさい。他意はありません)。いかにも”有効成分”が多そうな色や濁り、漂う硫黄のにおい、口に...
夕暮れ時。せっけんとタオルを入れた洗面器を手に、入湯客が1人、また1人と、細い路地から姿を見せた。上気した先客とすれ違う。「(湯加減)どうだった?」「よかったよ」―。幼いころの情景は、今も変わらず残っていた。 別府八湯の1つ、亀川温泉...
年末に九重町のスキー場がオープンし、県内にもウインタースポーツのシーズンが到来。早速、初滑りを楽しんだ。汗を流すいい温泉はないか―。探したところ、ありました。スキー場から車でわずか5分ほどの距離にある筋湯温泉。約30軒の旅館・ホテルが立ち...
直入町長湯温泉を象徴する温泉施設「御前湯」から歩いて5分ほど。芹川沿いの湯ノ原天満社そばに目的の町営温泉「天満湯」はあった。 管理する林寿徳さん(47)=御前湯館長=は「古い湯治場の雰囲気を残す公衆浴場。お湯はぬるいが、軟らかい泉質の...
先日午後、玖珠支局のファクスが「カタカタ」と震動した。吐き出された白い紙には「取材手配 締め切り厳守」の文字。この”名湯・秘湯・湯ったりおおいた”シリーズの出稿依頼、いわゆる特命リサーチである。 「了解です」。使い慣れた速記用のペンを...
別府市・竜巻地獄そばにある長泉寺。境内の片隅に白塗りの小屋があり、「薬師湯」の文字が見える。そう、ここは”温泉のあるお寺”なのだ。 薬師如来像を祭った素朴な造りの浴室に、年季の入った浴槽が1つ。3人も入ればいっぱい。竜巻地獄からの引き...
勤務地の豊後高田市を離れ、大分市内の本社に赴いた冬のある日。「『湯ったりおおいた』の取材先は決めたのか」。ふいにカメラマンの先輩に呼び止められた。すっかり忘れていた。「まだなら、おれが行ってみたい所があるんだが」。「助かります。そこでお願...
休みを取って温泉紹介のターゲットを探し回った。深耶馬渓一帯は結構温泉が多いが、自信を持って薦めるスポットとなると…。 そんな時、ふと立ち寄った温泉で「おおっ」ときた。前から穴場としての評判は聞いていたが、何よりおかみさんの屈託ない笑顔...
正月、柄にもなく1年の目標を考えた。ダイエット、結婚、特ダネ―。いろいろあったが、別府市内の88湯を回る「別府八湯温泉道」に決めた。目指すは88湯制覇と”温泉名人”の称号。さて、記念すべき第1湯をどこにしようか迷った末、たどり着いたのが「...
障害のある人も、健康な人も、誰もが心からゆっくりできる温泉宿。2001年のオープン以来、モットーとしている経営理念だ。 経営者の松浦吐四郎さん(64)と妻浩子さん(60)には、知的障害のある長男正寿さん(33)がいる。宿の隅々まで行き...
暦の上では春とはいえ、朝晩はまだまだ冷え込む。「心身共に温まる温泉に入りたい」と探していたら、開けた宇佐平野にたたずむ湯を見つけた。 金屋温泉は2002年5月にオープン。温泉は地下約600mからくみ上げており、源泉の掛け流しが特長とい...
風呂から上がって何時間たっても、ずっと体の芯(しん)までぬくもりが残っていた。軟らかな泉質に肌はしっとりすべすべ、心は、ほかほか気分。 一大観光地・由布院温泉の中でも、趣向を凝らした旅館とはひと味違い、地元の住民の愛情に支えられてきた...
最近、後味の悪い夢を見ることがある。気持ちが安らぐ夢を見たいと思っていた矢先、この温泉を取材する話が出た。夢のようだ。 向かった先は、大分市三川新町に、ことし1月にオープンしたばかりの「おおいた温泉物語 三川の湯」。...
大正ロマンを感じさせる、と言っては大げさだが、そんな湯が佐伯市直川にある。 国道10号沿いにある巨大なカブトムシの像を目印に交差点を入り、しばらく車を走らせると白い建物が見えてきた。「鉱泉センター直川」。1995年にオープンした。 ...
4月初めの昼下がり。私は渓流沿いの道端に立ち、今にも開花しそうな、薄紅に枝を染めた桜並木に見入っていた。この道を少し上ったところに湯平温泉がある。私の住む日出町からせいぜい1時間の距離。なのに、何だかとても遠くまで来たような気がする。 ...
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