第2部 トーク セッション(2)

地域、職人、商品の物語

人間関係の極意は

 佐々木 金谷さんはたくさんの人と触れ合っていますが、うまくいく極意はありますか。

 金谷 極意はないですね。飲みに行くことかな。僕の場合、「またこんなやつ来た」みたいなところから関係が始まることも多いので。ただ、現場には必ず行きますし、売る側の人間として売り場にも職人が来てほしいと思っています。職人さんは現場を空けて売り場に行くことを「悪」と思っている人が多いので、けっこうハードルが高いんですよ。職人の世界の多くは、他を嫌がる真水体質が残っています。人と交流して「いいよどみ」ができると新しい商品が生まれることがあります。

 佐々木 伝統工芸だと、「こうでなくては」という方も多いでしょう。

 金谷 そうですね。師匠から余計なものと接触しないように指導されている人もいます。工芸の学校では、商売は教えてもらえないから、卒業後に困る。

プライドを大事に

 佐々木 小野さんはものづくりの思いをどういうふうに社内で共有されていますか。

 小野 ジェイ・パックは、一度倒産した会社を営業部長だった父が同僚と立て直しました。入社してみて、今まで私が見ていたことと、外の人がどう見ているかというギャップを知ることになりました。私たちが作っているのは量産品で、パッケージは脇役です。選ばれるものを作らないといけないと思いました。選ばれる会社になるために意識改革をする中で、共感してくれる人は残りましたが辞めた人もいます。

 佐々木 それをしないと生まれ変われないという思いがあったんですね。女性ばかりの職場と聞いていますが、いかがですか。

 小野 女性ばかりですが、中身は男性の感じですね。一人一人が職人なのでポリシーがあります。プライドを大事に、でも目指しているところは一緒だということを根付かせています。

最初は東京で販売

左奥:佐藤防水店の帆布バッグ。トート、バケツなどの種類があり、配色を自分で決めることができる 右手前:多くの特許技術を持つジェイ・パックで開発された商品パッケージとオリジナルギフトボックス
 佐々木 会場から質問はありますか。

 (会場) 県内だけでなく、県外や国外に販路を広げているものがあれば教えてください。

 佐藤晃 うちのバッグは最初東京でしか売っていませんでした。流行の発信地で知名度を上げたいと考えたからです。それから東北や香港、イタリアなどで売ってから大分に帰ってきました。

 金谷 日本の展示会はかなり出展も多くなっています。近年は台湾からものづくりのクリエーターが上陸しています。墨田区の職人と台湾のデザイナーが協力してものづくりをしているんですね。3回目の出展となり、かなり日本のマーケットを研究しているので、彼らの作品のうちいくつかは代理店が付くほどレベルアップしていました。今、日本の市場をアジアから意識的に攻めてきています。欧米のデザイン系の学校を卒業した人も増えていますし、日本のものづくりをアップデートしていかなくてはならない時期にきています。工芸とハイテクニックを掛け合わせるなど、工夫していかないと。先日、台湾政府に呼ばれて台湾でセッションを行いました。会場から質問が途切れなかったです。どうやったら流行るかとか、直球の質問が多かったので、正直怖いなと思いました。世界的にもデザインの質は上がっている。やっかいだなと感じています。買い手の欲しいものも変わってくると思うんですね。

アジア各国の進出

大分合同新聞社報道部 記者 川野丈一
 (会場) 僕も大阪の展示会でアジアの各国が進出しているのを見たことがあります。

 佐々木 競争は日本だけじゃなくなってきていますね。大分からどう攻めていくか、考えないと。課題として、ものづくりの人材が挙げられると思うのですが、後継者育成に関して悩ましい現状もあると聞きます。
 
金谷 新聞社も同じですね。職人だし、過酷な現場です。

 佐々木 そこは工芸と一緒ですね。終わらないと帰れない部分はあるので。今回、理系出身の新人記者も来ているので聞いてみましょう。ものづくりの現場を取材しています。

 川野 報道部政治経済班で記者をしています。僕自身の就活の経験も併せて考えると、仕事は多種多様あるけれど自分のしたいことができる会社がどこにあるのか分からないケースが多いと感じました。地方の企業がどんなことをしているのかあまり情報がない状況なので、大企業に人材が流れているのでは。

媒体利用して展開

 金谷 地方のものづくりでPRが下手な人は多いですね。東京の展示会では、九州勢が少なくて。どこで売ろうとしているのかなと、東京でもよく言われるんですよ。地域の経済で成り立っているのかな。展示会には県単位で出店する場合もありますが、それでも九州は少ないです。
 佐々木 そのあたり、いかがですか。
 仙崎 日田の素材とか日田の職人がつくっていることはお客さんにとって重要ではなくて、まずは「欲しいか欲しくないか」。デザインや機能に、物語が見えて引き込まれて購入に至ります。実は、最初はそれが分からなくて「日田製」をごり押ししていたんですよね。僕の場合、全部個人でやっているので経営体力もないですし、目の届かないところでものを売ることをしなくていいかなと考えています。自分のできる範囲で考えると、豆田の街で店を構えることで、日田や商品の物語を知ってもらえることが大事かなと。店が地域貢献になることが理想で、付加される効果に注力していければと思います。
 佐々木 製品を通して、結果として日田を知ってもらうことにつながりますね。ネット販売はされているんですか。
 仙崎 ネットの販売もあります。媒体を利用して展開しています。

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