第1部 キーノート セッション(2)

売れすぎてもダメ

開発から販売、流通まで手がけた初の自社商品「ハッピーフェイスクリップ」
 ものづくり事業者と手を組んで商品開発もしています。ものすごく売れた商品もあったのですが、翌年、めちゃくちゃコピー商品が出ました。お客さまがコピー商品と知らずに買って、オリジナルにクレームが来る。必然的に市場で殺されるわけです。ものづくりって売れすぎてもダメで、売れなさ過ぎても難しい。その中間くらいのバランスが大事なんだなと実感しました。
 「自分たちで作って売ろうか」からスタートしたのが僕らのものづくりです。何も考えずにクリップから作りましたが、これが大苦戦しました。工場を探すところから、誰に頼んでいいかも分からないので、電話帳で探しました。製造知識がないので、工場とコミュニケーションがうまくいかなかった。紹介してもらった工場で、社長から「いくらで、どれくらい作りたいんだ」と初めて聞かれました。「20枚入りで500円」と答えたら100万円いると。当然お金がないので、月賦払いで金型づくりがスタートするというアホみたいな状況でスタートしました。

債務超過から復活

 自社がファブレス(工場を持たないこと)であることから始まったものづくりですが、どうやったら最短でできるのか、すごく悩みました。最初のクリップを作った時に、ものづくりの人が厳しい状態にあることに初めて直面し、自分たちでリスクシェアしながらできるのではと思いました。それが、「みんなの地域産業協業活動」の始まりです。クライアントは製造者や販売者の人。「デザインもするし、売りますよ」から協業がスタートします。今は全国の産地で500社以上と手を組んでやっています。
 倒産や廃業ギリギリの厳しいところからの相談もあります。例えば、眼鏡の素材を使った耳かきは、福井県鯖江の眼鏡の材料商社と製造したもの。債務超過している状態で相談に来られました。コストを計算すると、どうしても3900円になるんです。3900円の耳かき。いろいろ考えて、売り場をできるだけ取るようにパッケージをデザインしました。厳しいと思っていたのですが、展示会の後に5千本のオーダーがあり、その後会社は見事に復活。デザインが経営に刺さったらどう変わるかを実感した会社です。

販路の開拓も必要

 新しいものづくり(デザイン)には新しい道(販路)も必要です。活動をする際には「コト(技術)」「モノ(意匠)」「ミチ(販路)」という三つの軸で考えています。

 佐々木 トータルで考えないといけないと。

 金谷 よくあるのが、職人さんが商品を作ってから相談に来るパターン。「どこで売りたいんですか」と聞いたら「富裕層」って。「工芸あるある」と呼んでいます。

 佐々木 昔はちゃんとした技術でしっかり作っておけばよかったんでしょうが、今はこだわりの職人としてやっていけなくなっている。そういう意味で今からのものづくりはぐっとハードルが上がっていますね。

 金谷 僕たちがものづくりをするときに38のステップがあるのですが、そのうち20くらいは事業者さんの手でできます。本も書いているので、参考にしてもらえればと思います。

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