セメントプロデュースデザイン 代表取締役 金谷 勉氏
また、各地で異業種の交流会「Lobby(ロビー)」をやっています。言い換えると、「異業種間へ風を通して新しい土壌をつくっていこう」ということ。その産地だけではできないこともたくさんあるし、新しいものをつくっていこうと考えたときに、違う産地と出合っていかなくてはならない。新種を生むために、新しい“よどみ”をつくることを目的にしています。
産地を活性化させるのに必要なのは「土の人」「水の人」「風の人」といわれています。僕は「風」の役割をしたい。産地に種を運び、かき混ぜたいと思っています。要望がある産地に限って、ほぼボランティアで各地に行っています。裏テーマは、技術以外と交わることで「技術の交配」をさせていくこと。例えば福井には七つの国指定伝統的工芸品があるのですが、それぞれが違う場所で仕事をしていて、交流会で初めて出会った人もいました。出会いをきっかけに、「福井7人の工芸サムライ」というプロジェクトが立ち上がりました。
出会いが先にあって、「じゃあやろうか」からスタートできるのは大きいです。普通、電話で仕事を頼むと「千個からじゃないと」とかの話になる。ふたを開けてみると10個からでも大丈夫なんだけれど、警戒しますよね。“ものづくりの向こう側”を伝える場をつくろうと、東京の事務所の下のフロアにギャラリーとギフトショップを設けました。東京で知るきっかけをつくり、「現地に行こう」となるようなプレゼンが東京でできるといいですね。