移転オープンした「Oita Madeショップ別府店」。商品をそろえる野村菜美さん=別府市北浜
大分県産のものに徹底的にこだわりました―そんなキャッチコピーで売り出す「Oita Made(オオイタメイド)ショップ別府店」が昨年末、別府市北浜に移転オープンした。
駅前通りに移り、観光客や訪日客の姿が増え、大分の手土産を求める地元の人もいる。店内には大分の素材を原料に、そこで暮らす人々が手仕事で仕上げた商品が並ぶ。アルバイト店員の野村菜美さん(29)は「ここで商品を手にして、ぜひ現地を訪ねてください」と勧める。商品説明のカタログは120ページ。商品横には生産者の顔が見えるパネルも置いてある。
野村さんは県立芸術文化短大で非常勤講師も務める版画家。シルクスクリーンの作品を制作しており、主に電車の中から見える風景を描くという。「大分にはすてきな風景が各地にあります。ぜひ大分ファンになってほしい」と話した。
オオイタメイドは、NPO法人ベッププロジェクトが2013年秋から取り組んできた。「県産品のブランド化を、風景を残す運動と考えました」と山出淳也代表理事(47)。「私たちのミッションである地域を元気にするには、経済も回さないと課題解決できません」と大分らしい工芸品や食品を発掘してきた。
昨年8月、大分銀行は地域商社の設立を発表した。ベッププロジェクトから事業の無償譲渡を受け、銀行版地方創生として運営すると説明した。
社員、パート従業員計10人で再スタートを切った。早速、佐藤徹一社長自ら県内を行脚している。「耶馬渓にはおいしい食品が多いし、国東市国見町には優れた工芸がある。竹田も開拓していきたい。面白い取り組みをしている地域には必ず移住者がいますね」
現在、扱うのは70アイテムだが、将来的には250アイテムまで増やす計画。当面は今春までに100アイテムを目指す。課題は工芸品の発掘で、現在は別府竹細工、七島イ、玖珠のきじ車しか扱っていない。
地方銀行が地域商社をどう運営するのか。大分銀行地域創生部の三代吉彦副部長は「地方に産業の担い手がいなくなったら大変です。販路として東京や海外への輸出のお手伝い、生産量が十分でない場合は銀行としても力になれます」と話す。今後は観光業や不動産業にも取り組むなど、相乗効果で地方創生を推進していく考えという。
本社は大分市中心街のシンボル、大分銀行赤レンガ館に入る。3月下旬には併設するショップとカフェがオープンする予定。市中心部の活性化も担う算段だ。