(3)帆布バッグ 大分で挑戦

> 佐藤防水店のオーダーバッグ事業は、デザイン性の高さと品質勝負。丁寧に縫製する野田啓司さん=大分市西新地の佐藤防水店
 「例えば、大銀ドームの屋根もテント・シート店の仕事ですが、地元の中小企業はとても参入できない。大分の企業がどう打って出るか、考えましたよ」
 大分市西新地の佐藤防水店社長佐藤晃央さん(37)はオーダーバッグ事業への参入についてこう話した。
 帆布とは、綿や麻、亜麻を平織りで織った厚手の布を呼ぶ。同店の創業は1951年。帆布を縫製してテントやシートを製造してきた。市内豊町で事業を始め、2014年に現在地へ移転。現在、工場内にはテント・シートの製品部門とオーダーバッグ部門がある。
 小売り店舗も併設したバッグ部門で働く職人は22歳から42歳。工業用ミシンで色とりどりの分厚い帆布を縫製し、完成まで1人が責任を持って仕上げる。
 「縫うことは一針ごとに生地を破損する。風呂敷が理想ですが、そうはいかない。なるべく縫わなくて済むトートバッグを始めました」と話すのはバッグ事業を運営する野田啓司さん(39)。9年前から佐藤社長と二人三脚でオーダーバッグの事業化、ブランド化を進めてきた。「帆布は格子状に織られています。水分があると糸が膨らみ、目が詰まる。表面張力が働いて撥水(はっすい)するんのです」と野田さん。
 「SEW(ソー)」のブランド展開は、同社の強みである分厚い帆布の縫製技術を生かした。とりわけ最も分厚い2号帆布を用いた商品群の人気が高い。
 戦略的に東京から攻めた。アパレル企業に勤務していた佐藤社長のバイヤー人脈も生かされ、デパートなどでオーダー会を開く。実際に手に取ってもらいファンを獲得した。高い品質と優れたデザイン、豊かなライフスタイルを想起させるイメージ戦略が奏功した。
 現在、受け渡しまで通常で2カ月。新幹線のグリーン席に常備されている雑誌に掲載されると、HPへのアクセス数が瞬間的に通常の70倍となるなど、4カ月待ちになる時もある。
 課題もある。地域ブランド、帆布自体の産地か否かが問われることもある。実際にあるデザイン会社が取引を持ち掛けてきたが、担当者が「大分では帆布が生産されていない」と知ると手を引いた。
 「バッグでも何でも格好良くないと駄目。自社の強みを生かし、大分の企業として挑戦するのがうちのやり方」と佐藤社長。「もっとやり方もあるのでしょうが、社長は本当に大分が大好きなんです」と野田さん。帆布バッグという激戦市場に大分から挑戦は続く。

記事・用語解説

帆布バッグ


京都、東京、岡山、広島、福岡、沖縄などの国内勢に加え、海外ブランドも参入する。帆布自体の製造となると、国内では繊維産業の盛んな倉敷市が約7割を占め、一部が尾道市産。縫製技術などの品質とブランディングが勝負の分かれ目となる。

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