(4)耶馬渓で培った木工の技

> 個展の準備を終え、作品について語り合う藤野祐一さん(右)、章子さん夫婦=奈良県宇陀市のギャラリー夢雲
 国宝の金堂(こんどう)や五重の塔など、女人高野(にょにんこうや)で知られる室生寺(むろうじ)はすぐそこ。奈良県宇陀市のギャラリー夢雲で昨年末、「耶馬渓の自然と宇宙のかけら展」が開かれた。耶馬渓で培われた木工の技が奈良の山里で注目を集めた。
 築300年以上の古民家を改装したギャラリーは、周囲の風景と溶け込んでいる。招く作家など、オーナーの山脇優喜美さんのセンスあふれる運営に、ファンは関西一円や名古屋などから訪れる。
 同展は中津市耶馬渓町下郷地区でへたへた工房を開く中島信男さん(65)と、クラフトもくもくの藤野祐一さん(46)の2人に加え、大の耶馬渓ファンという大阪の版画家、森ひろこさんによる3人展だ。
 藤野さんは手作りの椅子や食卓セット、リクライニングチェアなどを並べた。使用した木はケヤキ、サクラ、タモ、ミズメ、シイ、ニレなどと多様。「木によって味わいが異なる。脚や背もたれなどの部材ごとに質感を変えてみました」
 藤野さんは木工家だった父、善則さんの背中を見て育った。林業中心だった耶馬渓での暮らしが1991年の風倒木台風で一変。杉の8割がなぎ倒され、善則さんは木工へシフトした。藤野さんは高校卒業後、岐阜県飛騨高山でクラフトを学び、仲間3人と山梨県清里で家具工房を設立。制作担当として活動し、2012年に帰郷したが、直前に善則さんが亡くなった。
 現在、藤野さんは森林組合で働きながら制作活動を続ける。「材料はおよそ九州の木ですが、将来的には自分で育てた木、地元の木で作りたい」と言う。
 中島さんは木の器やスプーンなどを出品。奈良に向け、藤野さんとトラックに作品を積み込み、別府から大阪へフェリーに乗った。あふれんばかりの大型トラックに「昔は物ではなく人が動いた。だから地域に産業があった。必要だと思った物を作るために技を盗みにいった。そして地域独自の技が生まれた」と中島さん。個別宅配などで物流業界の人手不足が顕在化する中、2人は「この先どうなるのか。地域の産業が再評価されるかも」と話した。
 山脇さんは、ギャラリーを人の集まる交差点に例える。藤野さんの妻、章子さん(34)は奈良県大和郡山市出身。2年前の個展で藤野さんと知り合った。夢雲が取り持つ縁だ。
 藤野さんは現在、工房をギャラリー兼カフェに改装中。自身の作品を見てもらい、章子さんのお菓子でもてなすという。夫婦で「わざわざ訪ねてもらえる場所にしたいです」と笑った。

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