(2)日田家具 アピールに力

> 職人と製品について語り合う中村広樹社長(右)=日田市東有田のベストリビング
 九州・筑後川流域で家具のまちといえば福岡県大川市が有名だが、家具業界では「大川の箱物、日田の脚物」と呼ばれる。ソファに限れば日田市は全国六大産地に数えられるが、県内でもほとんど知られていない。
 「ソファなど、日田には優れた木工の技術があるのに、むしろ日田産であることを隠してきた」。市内豆田町で日田産ソファや雑貨を販売するエリアスオーナーの仙崎雅彦さん(41)はこう話す。大学卒業と同時に、ソファを作りたい一心で北九州市から日田に移住してきたから、悔しくて仕方がない。
 例えば、昨年4月、イタリア・ミラノで開催された世界最大の国際家具見本市「ミラノサローネ」で日田産のテーブルが高い評価を得た。ただOEM(相手先ブランドによる生産)のため、日田産であることはどこにも記されていない。
 「日田家具工業会」はソファやテーブル、机など市内の主要メーカー6社で構成。それぞれ分業体制を整えており、関連会社を含めて40社以上と裾野は広い。「うちもそうですが、どこも全国を相手に戦ってきた自負はある。ただ、地元はまったく意識しなかった」と話すのは市内東有田のベストリビング社長、中村広樹さん(44)。同社は施設・店舗用のソファを製造しており、ゼネコンや設計会社と組んで別注、特注品を請け負ってきた。「ブランドがないのがブランド。黒子に徹してきた」
 ここ数年は「MADE IN HITA」を目指して若手が動き始めた。中村さんらが発起人となり、同工業会の若手経営者、社員らが2015年から勉強会を始めた。会の名前は「日田家具衆」と書いて「ひたかぐら」と読む。
 2年前からIFFT(インテリアライフスタイルリビング)見本市に出展を始めた。昨年はソファを製造する過程で出る音に着目し、絵本を制作。あえて家具は持っていかず、絵本の読み聞かせをした。日田ブランドを知ってもらうことに専念すると、周囲との違いが際立って注目を集めた。
 全国の工芸産地も視察している。刃物の岐阜県関市では「関の工場参観日」を見学。職人の技術を見てもらう意義を知った。飛騨高山では木工技術の高さ、歴史の重みを思い知った。
 家具衆では今秋、工場開放日を開催する計画だ。それぞれが家具職人の技を見てもらう。中村さんは「日田にはソファや家具、げた、小鹿田焼など多彩なものづくりがある」と先も見据える。江戸時代に天領日田として、北部九州の中心だった歴史も生きてくる。

記事・用語解説

日田家具


 日田木工の歴史を文献などで調べると、1491年に杉を植えたとあったという。九州三大美林に数えられる日田杉だが、木材は筏(いかだ)にして、筑後川を通じて河口の大川まで運んだ。戦後、夜明ダムが完成したことで水運が途切れ、木で車輪を製造するなど、日田の木工が本格的に始まったという。

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