受け入れ側の思い

 佐々木 今回のテーマは「移住と共創」。地域が移住を通してより前を向き盛り上がっていくため、地域はこうすればもっと面白くなるというキーワード、今後自分がこうしていきたいということを書いてください。

 子安 移住する側と受け入れる側に共通の思いがあればいいと思います。それが「“出会い”を楽しむ!」。移住の素敵なところです。東京に住んだ20年間にできた友だちの数より、竹田での1年でできた友達の方が多かった。人と人との心の近さは、田舎の方が大きいです。新しい人と出会うと、そこにまた新たな価値観があったり、共通のものがあったりします。迎え入れる方も出会いを楽しむといいと思います。

 栗原 「目的を持って楽しむ」。私はもともとサラリーマンで仕事は好きでした。いろいろあって田舎に来て行政に近い立場でやっていますが、手段が目的になってしまう場面があります。田舎の場合「続けることが大事」という部分があり、目的があって続けていくのならいいですが、だんだん見失ってしまっている部分があるのではないかと。もう一度目的ってなんだっけということを見つめ、地域の人と一緒に課題に対してどうしていくか考え、手探りで進んでいく。それが地域の団結力にもつながっていくと思います。

「九州は一つ」連携

 小金丸 「豊かさの追求と九州内連携」。「そもそも豊かとは」ということから、自分の中で答えが出ていません。豊かに暮らしていくって何だろうと考えていきたいです。もう一つ、九州という枠を考えて動いていきたい。他の地域が抱えている課題にも同じようなものがあり、シェアすることで解決できることもあります。九州って一つの強みで「九州愛」の強い人が多い。これから人口が減り地域が小さくなる中で、連携できる取り組みをしていきたいです。

 後藤 「できる人ができることを最大限にできる環境づくり」をしていきたいです。移住者にはユニークな人が多いですが、田舎は同じ方向を向かないと変な顔をされることもある。方向性は違っていいので、受け入れられる環境をつくっていきたいと思います。

気持ちよさの連鎖

 戸倉 「自身が豊かだと思える暮らしを楽しむ」。日々の暮らしの中で豊かと思えることを積み重ねていくと、その連鎖が起こるのではないでしょうか。何かしないといけないというよりは、気持ちよさを連鎖させていけたらと思っています。今後取り組みたいことは、田んぼの体験に来てくれる人たちが泊まれる場所をつくることです。

 榑松 「蜜源」。自然が良いという価値観で田舎に住んでみたけど、実際のところ自然の何がいいか分からないという人もいます。ハチを飼っていると、具体的に自然の何がいいのか、ピントが合ってくる。豊かさを具体的に価値観として捉えられ、自分にとって自然がもっと豊かと感じられるようになる。それが田舎暮らしの良さの一つだと思います。

「自分事」だと実感

 柳 素晴らしい移住者のみなさんのお話をうかがって、多様な生き方を実践する場として、田舎暮らしは本当に魅力的だと再認識しました。それを可能にしたのは、移住者を受け入れた地元の皆さんです。つまり地元の人も移住の当事者なんですね。キャスティングボードを握っているのは地域のみなさん一人一人です。今回のトークセッションを通して、地元の人にとっても移住は他人事ではなく「自分事」だということを、実感していただけたのではないでしょうか。

 佐々木 過疎高齢化とかネガティブなことを地域に対し思い続けてきましたが、今はバブルじゃないかというくらい移住が注目を浴びています。この流れをもっと太くできれば大分県は変わるのではという確信を持てました。今日が始まりです。

編集後記

 ミライデザイン宣言ハピカムの当日、出演者の話を聞いていると、高揚感に包まれてワクワクしてきた。こんな人たちがいれば地域は確実に活気づくという確信。そして、若者が都会から地方へ向かっているという流れに大きな希望を持った。
 私自身、大分合同新聞の記者として20年間以上、各地で取材してきた。根っこには「地域で豊かに暮らすには」という問いがある。大分市のような都市部から別府、湯布院の観光地、県内の大半を構成する農山漁村などいろいろある。各地で地域に根を張って生きる人や地域づくりの活動を記事にすることで地域活性化の一助になればとペンを走らせてきた。しかしこの間、人口などを指標にすれば地域は衰退の一途をたどるばかり。過疎や少子高齢化、限界集落といったマイナスイメージにあらがえないのかと恨めしくさえ思った。
 加速させたのは2005年から始まった「平成の大合併」だろう。かつて県内は58市町村あった。それぞれに首長がいて議会があり、商工会や農協もあった。確かに税金の無駄遣いや小さな悪事もたくさんあった。それでも小さいなりに、中心があり人もお金もよく動いた。何より自分たちの町のことは自分たちで決めていた。それが役場という中心がなくなり、旧郡部、周辺部は核を失い、急速に動きが弱まってしまった。
 世相も都会を志向してきた。戦後からの復興、続く工業化社会の進展で労働力として地方の若者を都市へと人口移動を促したのだから国策だろう。入社(1991年)当時はまだバブル景気の余韻が残っており、若者の多くは華やかな東京などの都会に憧れていた。そんな時代を生きた世代が右肩上がりという幻想から抜けられないのかもしれない。
 いつの間にか「移住」という正反対のベクトルが働き始めている。若者も含め、都会で働いてきた人たちが田舎を目指す。豊かな衣食住があるという本質論だけでなく、「田舎がかっこいい」というファッション性も備えているところが今風だ。ハピカムのテーマ「移住と共創」では、移住者の魅力的な生き方だけでなく地域での活動に主眼を置いた。力を失いつつある地域が移住者を迎え、元気を取り戻している。旧市町村よりももう一回り小さい地域を舞台にしているのは、顔を識別できる等身大のサイズだからだろう。
 地域を変えるのは、「よそ者」「若者」「ばか者」。昭和50年代に起こった由布院の地域づくりで語られたのが最初という。今回のハピカム出演者には「よそ者」の新鮮な視点で、若者の「行動力」を存分に発揮し、「ばか者」故の突破力がある。それでも地域づくりは一人ではできない。仲間をつくり、地域(行政)をどう巻き込むか。移住に関しては、日本全国で大競争時代を迎えた。移住をブームで終わらせてはならない。日本の中心、大分のそれぞれの地域からパラダイム転換を起こそう。大分合同新聞は地域で起こる「移住と共創」の動きを全力で応援していきたい。

ミライデザイン宣言ハピカムコーディネーター
大分合同新聞社編集局次長
佐々木 稔

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