こわばった表情のアナウンサーが「身を守って」と叫んだ。異様な音の空襲警報が鳴り続ける中で高層ビルから状況を伝えていたリポーターは、安全を確保するため一時的に画面から姿を消した。...
手元の広辞苑によると「気分がさっぱりして快い様子」とある。よく使う単語「爽やか」のこと。実は秋の季語である。明快、明らかという意味も持つ。すがすがしい爽やかな秋風が吹いてきた▼衣替えのシーズン。...
のっけから、がっかりさせられた。9人も立候補して注目をあおった自民党総裁選の中で石破茂氏が強調していたのは、新首相として求められる丁寧な説明ではなかったか。...
静岡地裁の裁判官だった故・熊本典道さんは、袴田巌さんに無罪の心証を抱いていた。だが、合議の裁判で他の裁判官を説得できず、信念に反する判決書を書くことになる。「判決の日から今日まで心痛はつづいています」。...
久しぶりにDVDレンタル店をのぞいて驚いた。ゲームや文具にかなりスペースを奪われている。作品数も減ったように思う。もちろん動画や音楽配信サービスの普及に伴うものだろう。...
早咲きなのか。遅咲きなのか。真反対の季節。大分市のJX金属関崎みらい海星館近くにあるサクラの木が、花をつけていた。1輪2輪ではなく、幾つかの枝ごとに複数。淡い緑色の葉が一緒の状態のもあった。...
『人は見た目が9割』(竹内一郎著)は2006年のベストセラー。翌年、集英社が太宰治『人間失格』の文庫版表紙に人気漫画家のイラストを採用したところ、大ヒットしたことを予見したともとれる。...
初めて目にしたときには驚いた。SNSで「#さす九」という言葉が出回っている。...
やっと酷暑を過ぎた感がある。かき氷の売れ行きはいかほどだっただろうか。イチゴ、メロン、ブルーハワイといった定番のシロップは実はすべて同じ味。原料の果糖ブドウ糖液に加える香料と着色料で脳が錯覚しているだけ。...
選ばれたのは元首相の野田佳彦さんだった。4人が立候補した立憲民主党の代表選。一夜明けた新執行部の骨格人事は刷新感を打ち出すのに腐心したようだ。...
明るい選挙推進協会の情報誌「Voters 明るい選挙」が、2023年の統一地方選を振り返る特集で興味深いデータを掲載している▼選挙後に毎回実施する全国意識調査で、前回19年までは地域での居住年数が長いと投票参加率が上がる傾向がみられたが、...
物理学者の寺田寅彦は予見していた。「どうかすると、直接の因果関係の考えられないようないろいろな不幸が頻発することがある」。...
旬のイチジクを食べて、懐かしい記憶がよみがえった。物心ついた頃に食べたイチジクジャム。親戚のおばさんの手作りで、祖母を通じてのお裾分けだったように思う。何度か口にした優しい甘さと香り。...
心に立ったさざ波はしばらく消えなかった。会社の行き帰り、毎日のようにあいさつを交わす老年の女性。朗らかな方で、会うたび優しく話しかけてくれる。ある日、遅くなった帰宅途中に出会った。「あら、おかえりー」。...
司馬遼太郎の『竜馬がゆく』に若き日の坂本龍馬の修行法が書かれている。史実かどうかは分からない。いつ頭上から岩石が降ってきてもあわてないよう、考え続けていたという。...
日本の原風景のような半島の自然はスクリーンを通しても厳しく、温かい。撮影されたのは約30年前の能登の姿。...
小学校に入ったばかりの頃、自転車の練習には苦労した。補助輪なしで走れた時はうれしかったけれど。志賀直哉(1883~1971年)はよほど活発な少年だった。...
夏目漱石は甘党で知られる。『吾輩(わがはい)は猫である』には「空也餅」という食べ物が登場するが、銀座の老舗和菓子店の「空也もなか」のこと。...
罪と向き合うということは、どういうことか。ノンフィクションライターの藤井誠二さんに、殺人の罪で服役中の受刑者から手紙が届く。当初は罪の意識も乏しかったが、次第に犯した罪に向き合い始めた経緯などを書いた。...
県立図書館の利用者数が減っている。2019年度の入館者数は約45万人だったが23年度は約31万人。現在の大分市王子西町に新築移転した1995年からほぼ半減している。...
アイシェードと呼ばれる目隠しを着け、音や振動に感覚を研ぎ澄ますゴールボール。...
新型コロナが感染拡大し始めた頃、各地で市販のうがい薬が姿を消したことがあった。「ポビドンヨードの入ったうがい薬でうがいをしたところ唾液中のウイルスが減った」との発言が出回ったためだ。...
別府湾を背に別大道路の歩道橋を渡り日豊線のガード下をくぐると早速、主役のお出ましである。久々の高崎山自然動物園。親しみのある昔ながらの風景だ。...
「黒い雲がモクモク上がり、しばらくして黒い雨が降った」。長崎県の保険医協会が公表する「黒い雨」マップに添えられた証言だ。...
〈悔しくて眠れなかった夜があった/怖くて震えていた夜があった〉。ゆずの名曲「栄光の架橋(かけはし)」の一節だ。一人でふさいではいないか。...
生活が懸かっていたから、とても仲が悪かった。運送をなりわいとし、同じ地域で仕事の取り合いをしていたからだという。民間事業者は競争の世界。仕方のないことだが、いつまでもいがみ合うのはどうなのか。...
奈良県の藤原京跡で見つかった木簡に、かけ算の九九の早見表が確認された。税の計算に使ったもので国内最古級という。往時の役人が木簡をにらみながら九九と格闘したかと思うと、ほほ笑ましくもある▼和算が庶民に広まったのは江戸時代。...
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