取材に答えながらワッパーを食べる筆者=大分市(テレビ大分提供)
「大分にもバーガーキングができるらしい」―。うわさを耳にしたのは、就職を機に東京から帰郷したばかりの4月上旬。「大分には店舗がない。なかなか食べられなくなるな…」と寂しく思っていた中での吉報だった。それから約半年。待ちに待った、文字通り待望の県内1号店の開店。「誰よりも早く食べよう」とひそかに決意を固めていた。
前夜は9時半に就寝し、未明2時に起床。暗闇の中を30分ほどかけて歩いて行くと、まだ誰もいない。狙い通りの一番乗りだ。誘っていた友人は休みが取れず、一人で並んだ。
10分ほどで次の人がやってきて「自分よりも早い人がいるとは」と驚かれた。話してみるとテレビ関係者で、前日のプレオープンに参加したという。他県で初出店の際は「(午前)3時ごろが先頭だった」と聞き、この時間に来れば大丈夫だろうと思ったら、予期せぬツワモノがいたというわけだ。
7時を過ぎて明るくなると、だんだんと列が延びていく。福岡や熊本の店舗に通い詰め、メンバーシップのダイヤモンド(3カ月間で1万7千円以上の利用)を維持している人。バーガーキングのロゴ入りTシャツを着ている人。同じ味を愛する人たちとの交流がうれしかった。
ただ、私にとって想定外の問題が起きた。8時半ごろからテレビ局の取材が始まったのだ。民放3社が勢ぞろい。行列の先頭にいた私は、当然3社から代わる代わる取材を受けた。正直、とても恥ずかしかった。
普段は取材する側だが、インタビューに答えるのがこんなに難しいとは…。取材をするときは相手が答えやすいよう、もっと聞き方を考えなければと自戒した。
従業員とテレビカメラに迎えられて店内へ。緊張と恥ずかしさで、ぎこちない表情と歩き方になっていたと思う。
念願のダブルワッパーチーズセットとオニオンリングを注文。ただ緊張のあまり「オールヘビー」(野菜やソースを増量できる注文)にするのを忘れていた。それでも、半年ぶりの食べ慣れたセットは、本当においしかった。
バーガーキングのワッパーは、とにかく大きい。直火焼きのパティは肉の存在感があり、野菜もしっかり入っている。オニオンリングを含め全てが最高だった。
その日の夜。朝は一緒に並べなかった友人と、仕事帰りにもう一度訪れた。
実は、朝に取材してくれたテレビ大分の方に「夜も来るかも」と話していた。バーガーキングの開店を追う一日密着をしており「夜も来るならぜひ教えて」と言われて連絡先を交換していた。
店の前には朝よりも長いのではと思うほどの行列。1時間半ほど並んで購入できた。カメラの前であらためて感想を話したが、朝ほど緊張はしなかった。密着の様子は9日に放送予定。
その日のうちに何人もの知り合いから連絡があった。翌日は会社でも「ニュースで見たよ」「昨日、並んでたでしょ」と上司や先輩から声をかけられた。誰にも伝えていなかったため「最初は『まさか』と疑われ、『よく見たけど、どうも本人のようだ』と話題になっていた」と後から聞かされた。
ニュースを届ける側の自分がニュースの当事者になり、思ったことがいくつかある。日頃から写真を撮るようにしよう。ニュースバリューを見抜けるようにもっと考えよう。そして、取材のときは質問にもっと気を使おう。何事も自分が経験してみなければ分からない。記者として気付きを得られたと思う。
いろいろなことがあり、長い一日だったが、朝夕2回食べたバーガーキングは以前と変わらずおいしかった。もう深夜から並びはしない(と思う)が、これからまた、通い詰めるつもりだ。(薬真寺優紀)