今回は前回に引き続き、養生訓の具体的な内容についてご紹介します。 江戸時代の儒学者・貝原益軒が著した「養生訓」は、単なる健康法の書ではありません。そこには、命を尊び、日々を丁寧に生きるための哲学が込められています。...
今回から3回にわたりコラムを担当いたします、橋本寛子です。初回は自己紹介を兼ねて、私が漢方に引かれた経緯をお話しします。 私は関東出身・在住ですが、縁あって大分の漢方勉強会に参加するようになりました。人情味あふれる方々、おいしい食事、...
命の危機にある人を治療する集中治療室(ICU)。ここでは最先端の医療機器や薬を使った治療が行われています。こうした西洋医学が中心の現場で最近、漢方が注目されるようになってきました。西洋医学だけでは対処が難しい症状に対して、漢方を併用するこ...
ペイン外来には痛みを主訴とした多くの患者さんがいらっしゃいます。肩こりや腰痛とともに多いのが頭痛です。大学病院という環境からか、頭痛のみで当科に来られる方は少なく、首肩の痛みや歯の痛みなど、その他の痛みに加えて訴えられる方が多いです。頭痛...
「もう年だから、この痛みとは付き合っていくしかない」 そう諦めている方が、実はたくさんいらっしゃいます。膝や腰、肩の痛みは年齢とともに増える症状ですが、医学は日々進歩し、私たちにはさまざまな治療の選択肢があります。...
座骨神経痛は、腰からお尻、太もも、ふくらはぎ、足にかけて広がる痛みやしびれ、重だるさのことを指します。これは、座骨神経という神経が圧迫されたり、刺激を受けたりすると発生すると考えられています。原因はいくつもあり、代表的なものに腰椎椎間板ヘ...
つわりは妊娠初期に妊婦さんが経験する症状です。吐き気や嘔吐(おうと)、食欲不振、疲労感などさまざまな症状があります。東洋医学的には薬膳、鍼灸(しんきゅう)、漢方で治療を行います。今回はその一部を紹介します。 ▽薬膳 すりおろしたショウ...
ある年の1月のこと。漢方外来に中学3年の女子生徒が母親とお見えになりました。母親から話を聞くと、娘が半年前から朝起きられなくなって学校を休みがちになっているとのこと。「これまでも複数の病院に通ってカウンセリングを受けているが、全く改善の兆...
今回は東洋医学治療の中の鍼(はり)についてのお話です。戦場鍼(せんじょうばり)という耳に小さな鍼を刺して痛みを和らげる治療法があります。「バトルフィールドアキュパンクチャー」や「BFA」という略称で呼ばれることもあります。...
ドラッグストアなどに行くと、風邪だから葛根湯(かっこんとう)、咳(せき)だから麦門冬湯(ばくもんどうとう)など症状別に分かりやすく販売されています。しかし、症状に応じて薦められた漢方を内服しても、必ず効果があるわけではありません。名前が違...
私は婦人科医ですので、「更年期障害」の女性を多く治療しています。更年期障害は誰でもご存じの病気かと思いますが、とても複雑な疾患です。更年期障害は閉経により女性ホルモンの量が低下し、さまざま症状が出る病気です。 女性ホルモンの不足が原因...
冷え症の女性は多いと思いますが、冷え症は西洋医学的にはっきりと定義できない疾患です。そのため、西洋医学的な薬物療法はなく、カイロで温めるなどの生活指導をします。体が冷え切ると気力も落ち込み、体を動かすのがおっくうになってしまいます。...
私は婦人科医なので「風邪をひいた」という理由で来院する患者さんはいません。しかし、患者さんがたまたま風邪をひいていたということは時々あります。 患者さんは40歳代女性で、婦人科疾患のため通院中の方です。通常の通院時に「先生、風邪が治ら...
泌尿器科での漢方薬といえば、ぼうこう炎や頻尿などに対して処方されるイメージを持つ方も多いと思います。ですが、それ以外にも漢方薬を使用することがあります。今回はその一部を紹介します。 大分大医学部付属病院は県内唯一の腎移植病院として認可...
今回は漢方薬の柴苓湯(さいれいとう)についてお話します。柴苓湯は小柴胡湯(しょうさいことう)(サイコ、オウゴン、ハンゲ、ショウキョウ、ニンジン、カンゾウ、タイソウ)と五苓散(ごれいさん)(チョレイ、タクシャ、ブクリョウ、ソウジュツ、ケイヒ...
泌尿器科の外来では、排尿時の痛み、頻尿、残尿感など排尿に関する症状を訴える患者さんがほとんどです。原因はさまざまで、ぼうこう炎をはじめとして前立腺肥大症、過活動ぼうこうやぼうこうがん、認知症やパーキンソン病といった神経系の疾患などが挙げら...
私の母方の祖母は59歳でこの世を去りました。祖母の形見の指輪があり、私が30代のころに母から譲られました。その時は私の指には大き過ぎて落としてしまいそうで、着けることができませんでした。しかし、祖母の歳に近づいてきた今、その指輪がちょうど...
更年期や老年期の女性たちだけでなく、男性も50代になると夜熟睡できない人が増えているようです。同窓会で何人かの男性の友人が「眠れないので薬を飲んでいる」と話していました。 更年期の症状で婦人科を受診する患者さんで、「よく眠れています」...
婦人科の外来で、自身の症状を話しながら泣いてしまう患者さんが増えたように感じます。以前、先輩から、「症状を訴えながら泣いてしまう人には桂枝加竜骨牡蠣湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)を」と勧められていたので、私も処方することが増えてきまし...
新型コロナ感染症で、急性期の治療方針は定まっています。回復後に症状が全てなくなれば問題ないのですが、長期にわたって味覚障害や全身の倦怠(けんたい)感、めまい、咳、下痢などの症状で悩まされる場合があります。これは、インフルエンザウイルス感染...
4年以上にわたる新型コロナウイルス感染症との闘いの中、ワクチンや抗ウイルス薬を含め、状況に応じた治療方針ができました。しかし、5類感染症になって抗ウイルス薬が無償の期間が過ぎると、高額な薬価が生じます。また、妊娠している人や定期的に内服し...
暑い日が続いていますね。今年も熱中症の患者さんを多く診察しました。今回はめまいの患者さんの紹介です。9月初め、まだ残暑の厳しい夕方に91歳の痩せた小柄な女性が息子さんに背負われて来院しました。天井がグルグル回って立つことができず、2、3回...
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