東京ギフトショーでもひときわ目を引いた大分県ブース。バイヤーと話をする箸屋一膳の西原慎一郎さん(右端)=2月、東京・有明の東京ビッグサイト
ミライデザイン宣言ハピカム「第2回人から始まるものづくり」では、大分の若い作り手たちの活動を見てきた。技術・技能の研さんを積みながら、商品開発や販路の開拓、独自性のあるブランディングも模索する。地域の明るいミライをつくろうとする、ものづくりの新しい動きを紹介する。
「東京インターナショナルギフトショー春2018」が1月31日から4日間、東京・有明の東京ビッグサイトで開かれた。企業や産地、県・市町村など、出展の単位はさまざま。バイヤーら40万人超が訪れる日本一のものづくりの祭典は熱気にあふれていた。
「大いなる発見」をテーマにした大分県ブースだが、工芸系では初めての出展。竹細工や木工、陶器、つげ細工などの12社が並んだ。竹を基調にした演出はハピカムでアドバイザーを務めた金谷勉さん率いるセメントプロデュースデザイン(大阪市)が担当した。
「箸の長さは一あた半が目安。一あたは親指と人さし指を直角に広げた指先を結んだ長さ。使う人によって適した長さがあります」
由布市湯布院町川上で「箸屋一膳」を営む西原慎一郎さん(42)はバイヤーと話が弾んだ。「会場を見渡すと、箸だけでもライバル社がいっぱい。ただ、自然素材を生かした箸は他にないし、由布院のネームバリューも感じました」と上々の反応に笑み。
竹細工によるアクセサリーブランド「ミカヰバンブー」を展開する麻生あかりさん(35)は「国東半島の竹は質がよく、昔は京や大阪にも出荷していた。私もいい竹を求めて豊後高田に工房を構えました」と説明。高級自動車メーカーの作り手支援プロジェクトで県代表に選ばれるなど、気鋭の若手作家は「世界初の竹のジュエリーブランドです。海外向けEコマースやバイヤーさんが興味を示してくれた」と手応えを得た。
各社は昨秋から出展準備を始めた。商品開発や展示方法を指導してきたデザインプロデューサーの米山佳子さん=東京都=は「県ブースは今の暮らしに合った商品がそろったので高評価を得た。大分にはいい物が多いが、残念ながらPRが足りない」と指摘。県ブースを取りまとめた県産業創造機構の阿南大輔・地域産業育成課長は「大分の工芸は知られていないことを痛感した。情報発信を図りたい」。計4日間で名刺交換が900枚以上、2月末で82件の商談が成立した。
ギフトショーへの出展を終えた各社は、米山さんの案内で新規出店した百貨店「銀座シックス」などを巡った。「朝ミーティングを開くなど、チーム一丸となって販路開拓に取り組んだ。今回が始めの一歩。今後は作り手の裾野を広げたい」と同行した大津美由紀・同機構地域産業育成課長代理。ギフトショーへは来年も出展する計画という。