ほたる君。君は今どこで何をしていますか。 手をのばせばすぐそこに、君がたくさんいたあのころから、ぼくは君に会うたび、君といろんな話をたくさんしてきたよね。 そして君はぼくに「このままならきっと、ずっといっしょにいられるね」って言ってくれたことがあったよね。 毎年すこしずつ、君の数がへっていっても君はその言葉どおり、かならずぼくに会いに来てくれていたよね。 だからぼくはずっと、君といられる日がつづくと、しんじてうたがっていなかったんだ。 なのにどうして今年にかぎって君は、ぼくの所にだれも来てくれないんだい。 今年の五月にぼくに弟がうまれたんだよ。 弟にも君のすがたを見せたいんだ。君のあわい光で弟をてらしてほしいんだよ。きっと弟はすごくよろこぶと思うんだ。 ぼくはね、今になって、君の言った言葉の本当の意味が分かったんだ。 君がぼくに会いに来てくれなかったのは、ぼくら人間のせいだよね。 毎年すこしずつぼくに会いに来る君の数がへっていったのは、君のすみかである川の水をぼくら人間がよごしていたからだよね。 毎年毎年じわじわと、君のすみかだけではなく、えさとなる生き物の命も、ぼくら人間がうばっていってたからだよね。 だから、とうとう君は、もうここにはすめなくなったんだよね。 君の言った「このまま」じゃなくなってしまったからだよね。 君は、こんなことをしたぼくら人間のことを、ゆるすことはできないよね。 ぼくがもし君だったら、君と同じようにそんな人間のことをゆるすことはできないよ。 ぼくなら、人間は自分が生きるためなら何をしてもいいのか、人間以外はぎせいになってもいいのかって思うよ。 君を守ることができなくて本当にごめん。 だけどぼくは本当にかってだけど、どうしても、もう一度君に会いたいんだ。 だからぼくは、食べのこしをはい水に流したり、シャンプーをひつよう以上に使ったりしないようにして、これ以上水をよごさないようにしようと思っているんだよ。 そうすれば、時間はすごくかかるかもしれないけど、うばってしまった君のすみかとかをすこしだけでも、もとにもどせるんじゃないかって思うんだ。 だからもとにもどせた時には、また、ぼくに会いにきてもらえないかな。 その時こそ、ぼくの弟を君にしょうかいさせてほしいんだ。 弟には、君のことを図かんでしか知らないことにはしたくないんだ。 君のすがたを弟に実さいに見せたいんだ。 今度こそかならず君のことを守ってみせるから、いつかまた、ぼくの所にもどって来てもらえないかな。
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