地場工務店5社がつくった合同展示場「シラタウン別保」=大分市森町
県内の工務店5社が、大分市森町に合同住宅展示場「シラタウン別保」をオープンした。建設費の上昇などを背景に新規着工数が減少している中、危機感を抱いた各社が手を組んだ。競合関係を超えて地場工務店が手がける家の魅力を発信する。
参加しているのは▽前田工務店(大分市皆春)▽伊藤工務店(同市坂ノ市中央)▽和蔵(同市片島)▽サンウッド(同市青崎)▽小田原工務店(豊後大野市大野町)。5社の合同会社「おおいたシラシンケンプロジェクト」が展示場を運営している。
道を挟んだ計1830平方メートルの敷地に各社がモデルハウスを建て、案内所を設けた。いずれも県産材を使うなど地場企業ならではの家で、11月中旬から公開している。
1年間の展示期間を終えると販売する「期間限定売却型」。通常より安い価格で購入でき、既に5棟のうち2棟は売買契約を結んでいる。
通常、合同展示場のモデルハウスは一定期間が過ぎると解体し、新たに建て直す。建築・解体費、集客イベント費など多額のコストがかかり、大手メーカーでなければ参画は難しい。
今回、5社は資材の共同購入などでコストも抑制。省エネ・耐震技術の情報共有といった取り組みも進めた。
中小工務店による同様の事例は全国で増えつつあり、県内では初めて。九州では4例目という。
同プロジェクトは全棟が売れた後、豊後大野市など別の場所に新たな展示場をつくることを計画。土地売買に関する有資格者らの合同採用や、宅地のみの販売も視野に入れる。
前田良平会長(48)=前田工務店社長=は「住宅市場の縮小で、県外大手との競争は厳しさを増している。それぞれが個性的な家づくりをする地場が協力することで、地元の雇用創出など地域経済の循環も生み出したい」と意気込んでいる。
<メモ>
国の建築着工統計調査によると、県内の2024年度の住宅着工数(戸建て)は2255戸。コロナ禍前19年度の3691戸と比べ、6割程度まで減っている。合同展示場は水曜定休。問い合わせは、おおいたシラシンケンプロジェクト(097-565-0065)。