街中のメーンストリートを、郊外の田園風景の中を、バスが走る。誰もが手軽に利用するバス路線は大分市内の隅々に延びている。バス停を訪ねて、その近くに暮らす人たちや自然の姿、旧跡などをシリーズでスケッチする。
※大分合同新聞 朝刊大分・別府面 2004(平成16)年5月23日~2006(平成18)年4月2日掲載
”ウナギの寝床”と呼ばれる細長い区画の多い大分市萩原。この閑静な住宅地に「ネクストアーチェリー」はある。アーチェリー用具を販売する店の奥に最大30mの室内射場があり、九州では珍しい民間スクールも開いている。 店を訪ねると「体験してみま...
大分市今市地区の参勤交代石畳道路沿いに、空き家だった民家を改装して開いた陶工房「しあわせなふくろう」がある。同市寒田北町の高原ヒデ子さん(57)が、自宅や工房で焼いた器などを販売し、陶芸体験教室も開いている。 2002年8月にオープン...
創業百周年を迎えたお茶の「北川園」(大分市東鶴崎)の歴史をひもとけば、見えてくるのは地域の歴史。店の記録をたどりながら、3代目の北川徹明さん(71)の口からは次々に歴史上の人物や事件が飛び出す。順序よく、丁寧に解説する姿は郷土史家の顔だ。...
外観は、黄色の壁が目印の個人住宅。通り沿いに掛けた小さな看板が唯一、カフェレストランの存在を知らせている。 大分市中判田に暮らす山下はつよさん(57)が自宅を新築する際、「地域の人たちと触れ合える仕事をしたい」と店舗用のスペースを確保...
大分市民の台所を支える市内豊海の大分中央卸売市場。その中にある「関連商品売場」には食堂、漬物店、容器を扱う店など約50店が軒を連ねる。「市場で働く業者のための関連店舗」(市の市場課)との位置付けだが、競りの時間以外なら一般消費者も利用でき...
大分市廻栖野(旧野津原町地域)の国道442号沿いに6月、食事と手工芸品の両方を楽しめる店としてオープンした。古沢英也さん(58)=大分市寒田南町=と登本寿典さん(59)=北九州市=の共同経営。 「野津原のことを昔は『のったる』と呼んで...
神社は大分市錦町にある。境内には樹齢200年近くのイチョウやムクといった落葉樹の古木が、どっしりとそびえ立つ。「地域の宝を残したい」。次世代への思いを込めて住民は境内を清掃し、幼木を育て、”杜もり
口コミで伝わる”佐賀関のファストフード”がある。甘酢でしめたアジやイワシ、サンマなど旬の魚とオオバを飯の上にのせた、シンプルだけどぜいたくなにぎりずし。 漁業が盛んな旧佐賀関町。各家庭には独特の”漁食”がある。「母親や近所のおばさんた...
大分市の南、豊後大野市犬飼町に近い端登と河原内の境にそびえる天面山(403m)。県と大分市が森林公園として整備した里山で、山頂のそばまで車で行ける。地元の自治委員後藤隆司さん(72)と三浦伯明さん(63)に案内してもらった。 県道中判...
食育を考えた安心、安全な商品作りを――。大分市辻の社会福祉法人「新友会」(神田秀樹理事長)が運営する漬物製造販売の福祉工場「サンフラワー」では、県内の知的障害者16人が従業員として生き生きと働いている。 工場は2004年6月に開所した...
大分市荏隈の国際製菓調理専門学校の1階にある。明るい雰囲気の店内には旬の素材をふんだんに使ったケーキや、教員オリジナルのクッキーが並び、季節を彩っている。 製菓製パン学科の2年生が授業の合間に店頭に立ち、心を込めて作った商品を販売して...
火鉢を囲むいすを眺め、「今日は何人が座るやろうか」と店主の杉田正二さん(82)がつぶやく。妻の幾代さん(79)が「2、3人でしょうかね」と優しく答える――。 ここは大分市東鶴崎、大野川の橋のたもとにある小さな商店。...
大分市下原にひっそりとたたずむ古民家が「ギャルリー美藍みらん」。陶芸家の河原畑伽兆=かわらばた・かちょう=さん(49)が妻の美千代さん(46)と長女の藍子さん(20)の名前から1字ずつ取って名付...
大分市王子中町の閑静な住宅地にあり、散歩の途中に立ち寄る住民らの憩いの場になっている。 福田平八郎画伯は1892年生まれ。18歳までこの地で過ごした。旧春日浦球場辺りに当時の大分県師範学校が移転し、実家は近くで文具店を営んでいたという...
大分市高江ニュータウンの幹線道路に沿う長さ800mの歩道。午後5時になると55本の街路樹に取り付けた電球に明かりがともり、冬の団地を温かく演出している。 イルミネーションは2000年冬から、「大分地所」の高江ニュータウン総合案内所と自...
大分市下白木。市中心部から別大国道(国道10号)で別府市に向かう途中、緑の山々を背にした集落が左手に見えてくる。地区には天満社や金比羅様、山の神などが祭られており、庶民信仰が息づく。鬼神社もその1つだ。 由来は前九年の役(1051年)...
大分市佐賀関地区に今も残る「佐賀関鉄道廃線跡」。始発駅だった幸崎駅(JR幸崎駅と隣接)から、終点の佐賀関駅(現在の佐賀関バスセンター)までの約10kmを歩くと、民家の軒先に咲く草花、美しい海、吹き付ける強い潮風、波の音…。佐賀関の”顔”を...
「ものづくりに携わった昔の人たちの真摯しんしな気持ちが伝わる建築技法を大切にしていきたい」 江戸時代の旧呉服屋の蔵が自宅兼ギャラリーとして生まれ変わった。...
「いらっしゃいませ」「ありがとうございました」。スタッフの元気な声が響いた。店は、昨年11月にオープンした大分市鶴崎市民行政センターの1階にある。社会福祉法人「新友会」(市内辻)が、漬物製造販売「福祉工場サンフラワー」の事業の1つとして開...
外は冷たい風が吹いているというのに、つやつやの肌でにっこり笑う小野輝子さん(55)。大分市北下郡にある”お豆腐屋さん”の緑色ののれんをくぐり、輝子さんに会うと、なぜか家に帰った気分になった。 店は1998年にオープンした。「とうみ」と...
大分市内の住宅地、碩田町。住吉川のすぐそばに、木のテラスを設けた三角屋根の”気になる”建物がある。高野すみ子さん(55)が自宅の隣で開いている粘土工芸教室兼店舗「野うさぎファクトリー」だ。 粘土工芸を始めたのは約20年前。...
ねじり鉢巻きに白いかっぽう着、こだわりの頑固店主がウナギを焼く……といった勝手な想像が見事に覆された。 穏やかな表情の3代目、杉本英三さん(65)。デニムのエプロンに、優しい口調、温和な笑顔で出迎えられ、当方、「あら」と緊張がほぐれて...
大分市内の団地、明野紅陽台。その中にひっそりとのれんを掲げる「茶房 器布陣きふじん」。喫茶ルームは、市内の作家20人が作った和布のタペストリーや着物をリフォームした洋服、色とりどりのちりめん細工...
春の盛りを思わせる暖かな光が店内を包む。昨年11月に開所した大分市稙田市民行政センターの1階にある喫茶店。地域の人が憩う、開放感あふれる空間だ。 社会福祉法人「シンフォニー」(市内中尾)が運営している店で、3店目。法人の職員と知的障害...
大分市大手町の遊歩公園沿いにある。ギターとジーンズを修理・販売する店だ。楽器店に勤めた経験がある現役のバンドマン、時松敬士たかしさん(37)と、アパレル関係の販売員だった妻の弥栄子さんが「互いの...
ウメやフジ、サクラが植えられ、どこか庭園のような風情を感じさせる境内に鎮座する3つの社。大分市萩原の住民を昔から見守ってきた萩原天神社には、地域の歴史が詰まっている。 「かつて境内の東側は立派な庭園でした。...
脈々と引き継がれてきた祭りに、鶴崎の男衆の血が騒ぐ――。4月2日は大分市東鶴崎の剣けん八幡宮の春祭り。目玉は名物「けんか祭り」だ。 話は今からおよそ360年前の正保2(1645)年にさかのぼ...
花見シーズンがやってきた。大分市の上野ケ丘墓地公園でも約400本のソメイヨシノが見ごろを迎えている。 公園の歴史は古い。かつては西山公園と呼ばれていたが、1953年、現在の名に。戦災復興の区画整理で旧市街に点々とあった墓を集めた。彼岸...
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