街中のメーンストリートを、郊外の田園風景の中を、バスが走る。誰もが手軽に利用するバス路線は大分市内の隅々に延びている。バス停を訪ねて、その近くに暮らす人たちや自然の姿、旧跡などをシリーズでスケッチする。
※大分合同新聞 朝刊大分・別府面 2004(平成16)年5月23日~2006(平成18)年4月2日掲載
1日に大分市、佐賀関町、野津原町が合併し、新しい大分市がスタートした。大分市に同名の「神崎かんざき」があるため、旧佐賀関町の「神崎こうざき」は、大分市...
大分市中心部から国道442号を竹田市方面へ進む。1月1日に大分市と合併した旧野津原町に入り、やがて原村地区に着く。ここに「ななせ四季の里」がある。温かみのある焦げ茶色の建物では、地域の女性たちが地元の新鮮野菜を販売したり、手作りの料理を楽...
プリッと軟らかい鶏の空揚げは、揚げ加減と衣の具合が絶妙で、1度食べたら”とりこ”になること間違いなし。注文を受けた空揚げを紙袋に入れて、くるくると新聞紙に包んで渡す。変わらないこのスタイルが、さらに庶民の食欲をそそるのだ。...
大分市野津原の旧道沿いに鎮座する野津原神社(縣好久宮司)。小学校と幼稚園に隣接し、元気いっぱいに遊ぶ子どもたちの笑い声が響く。 1871年、14柱を合祀ごうしする郷社として創建された。...
大分市机張原から県道を下って林を抜けると、放生池が見えてくる。水面が風に揺れ、波紋が岸に寄せる。池の周囲にはさまざまな木が育ち、季節によって野鳥のさえずりが聞こえてくる。田んぼに実りをもたらす水がめとして築かれた池は、人々の心を休める景勝...
佐賀関漁港に近い大分市佐賀関地区秋の江。「太田缶詰」の敷地に入ると、樹齢600年のソテツの大木と、洋風の母屋の屋根に取り付けたトレードマークの富士山が出迎えてくれる。「来た人はまずここでびっくり。(母屋の)中に入ると雰囲気が和風に変わるの...
趣味で作っている小物などを展示できるレンタルショーケースの店が、大分市駄原にある「豊の国情報ライブラリー」(県立図書館など)のすぐ近くにオープンした。間口50cm、奥行き46cm・高さ35cmの空間を使って自分の世界を「自由自在」に表現で...
さまざまな悩みを抱える人を、地域の人々で支援したい――。そんな思いを胸に、大分市大南地区でボランティア活動をしている特定非営利活動法人(NPO法人)「春風の森」が、新たな取り組みに向けて動き始めた。...
心が丸くなるような菓子作りを――。大分市羽屋にあり、一般的なケーキのほかに、食物アレルギーがある人でも食べることのできるケーキも作っている。 店主の岩根憲一さん(57)がパティシエ(ケーキ職人)として県内の菓子メーカーに30年ほど勤め...
大分市新春日町の市営球技場。西側入り口の門柱やテニスコートスタンドには「国体記念事業 オリンピック記念事業 1966」のプレートが取り付けられている。 「市営球技場」は通称。テニスコートや相撲場などを含めた総称は、市の条例で「大分総合...
大分市本神崎の旧国道から北側の別府湾に向かうと、江戸時代の立派な伽藍がらんを構えた風格ある建物の数々――。「柱や基礎がしっかりしていて、修復の際も手直しの必要がないほどでした。当時の職人の技は大...
4月。フジで有名な大分市寒田の西寒多神社周辺に、本格的に春の気配が漂い始めた。神社のそばを流れる寒田川のせせらぎと穏やかな日の光、ウグイスのさえずり、そして「ふるさとの昔の風景を取り戻そう」と、川沿いに住民らが植えた桜が、もうすぐ見ごろを...
緩やかな丘の上に建ち誇る子どもたちの城。ユニークな形と、胸弾む色使いの遊具が、子どもの心を優しく包み込む――。手掛けた遊具を眺めたとき、2代目・後藤芳正さん(52)の顔が一層ほころんだ。 戦前、全国から視察団が訪れるほど、村を挙げて体...
大分市猪野に「おまんじゅう」の旗が風になびいている小さなプレハブがある。そこが「アイビー」。店に入ると、平均年齢65歳という女性たちが「いらっしゃい」と温かく迎えてくれる。 2003年2月、農村女性らで組織する市生活改善連絡協議会員か...
「緑が多くて広々としているのがいいですね。子どもが伸び伸び遊べて、転んでも安心。動物と触れ合えるのもうれしい」。好天に恵まれたある日の午後、ポニーと戯れる親子連れのほほ笑ましい姿があった。...
大分市国分にある市歴史資料館の東側一帯が国分寺跡。市は約5万平方mを史跡公園として整備した。 公園は手入れが行き届いており、「森」や「花」「交歓」といった広場に区分している。花見、遠足、盆踊りなど1年中、行事を通して地域から親しまれて...
旧国道210号に沿って、ひと昔前の雰囲気を漂わせた店舗が並ぶ庄内町小野屋地区。「小野屋」の商号で営む酒店に住民が酒を買いに行くことから「小野屋へ行く」と言い習わされ、次第に固有の地名になった――とされる。...
大分市中心部の北にある弁天地区。工場などが立ち並ぶ一帯から住宅地に入る1区画に小さな社がある。昔から地区を見守ってきた弁天神社だ。 地元に残る資料によると、神社は1925年、大分川河口の左岸に、当時「弁天島」と呼ばれていた弁天地区一帯...
大分市久原の一角にクルクル回る風力発電の風車。「なぜ、このような場所に」と首をかしげながら見上げる。きれいに整備された敷地内には植えたばかりのアジサイが咲き誇る。奥には堂があり、3体の仏像が安置されている。「ああ、お寺なのか」と驚かされた...
大分市中戸次の戸次本町地区は、江戸時代には臼杵藩の在町(ざいまち)=商業活動を許された農村=として、明治、大正時代は養蚕の集積地として活気あふれる商業拠点だった。今も目抜き通りの「本町通り」を歩くと、しっくいで固めた屋根瓦や白い壁、大きな...
< 白玉の歯にしみとほる秋の夜の 酒はしづかに飲むべかりけり > 経営者の福原英子さん(76)が口ずさむのは酒を愛した歌人、若山牧水(1885―1928年)の短歌。歌人にちなんだ屋号でのれんを上げて40年。...
「むかしむかし、稙田の村に、夕方になると鬼が霊山(りょうぜん)から下りてきては、子どもをさらっていきました」と話すのは、大分市稙田地区にある県立新生養護学校の校長、牧野桂一さん。地区には多くの伝説があり、その中に「霊山の鬼退治」の話がある...
大分市金池小学校の正門を入り、点字ブロックに沿って歩くと、北校舎の教室の1つが点字文庫の「むくどり文庫」。推理小説、恋愛小説、随筆――。読書好きな視覚障害者の心をくすぐる点字図書2,400冊余りが並んでいる。...
深い緑に囲まれた大分市横尾地区の高尾山自然公園。水分みくまり神社はそのふもとにある。水田耕作や豊作の神様として、今も昔も地区住民らを見守り、静かにたたずんでいる。 綿津見命
「ここにも水をやって」「大きく育てばいいなあ」。大分市下郡北にある下郡小学校の農園「すくすくランド」で児童と地域の人たちの笑い声が響く。 農園は2000年、児童の祖父である田島繁男さん(75)=南下郡=が小学校から相談を受け、友人の野...
大分市の夏を代表する「大分七夕まつり」が近づいてきた(8月5―7日)。その初日に行われる「府内戦紙ぱっちん」。勇壮な山車の絵や担ぎ手の気合が、見る人を引き付ける。...
割れるようなセミの鳴き声の中に、子どもたちの歓声が聞こえる――。 大分市曲の曲八幡神社には毎年夏休みに入ると、虫かごを肩に、帽子をしっかりとかぶり、虫捕り網を振り回す子どもたちにあふれる。大分南部公民館(大渡康宏館長)は夏休みに「昆虫...
寺は大分市金池町にある。正門を入り、セミと鳥の鳴き声以外は聞こえない境内をしばらく進むと、歴史と風格のある山門が待ち構える。木立に囲まれた境内はひんやりとして、厳かな雰囲気を漂わせている。 旧万寿寺は1305年、現在の市内元町に大友貞...
午前7時半の開店前から客が並び、午後2時の閉店まで入れ代わり立ち代わりにぎわう店がある。大分市佐賀関地区本神崎の国道197号沿いにある広場に建てられた四張りのテントがその店、「JA女性の店さがのせき」だ。毎週土曜日と日曜日に営業。地元で取...
「見かけが良くないものもありますが、味は絶品。野菜本来のうま味を楽しんでください」 県職員として農業技術の指導に携わってきた仲村英一さん(62)=大分市松が丘=らがこのほど、全国各地の伝統野菜を栽培し、同市野津原地区竹矢に開設した直売...
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