記者 日本酒には「辛口」「甘口」とか、プラス・マイナスで表記した「日本酒度」とかもありますが、それはどのように参考にすればいいですか?
丸田さん 「辛口」「甘口」っていう言い方をしますが、実は日本酒は基本的には辛くないんですよね。
日本酒の辛口甘口っていうと、味が残るか残らないかみたいな余韻の部分が強いんですよ。
飲んだ後のキレの良さ、味がすっと消えていく感じが辛口。逆にずっと残っていくのが甘口というような言われ方をします。
ここがなかなか難しいところで。
例えば「ちえびじん」は香りが華やかでフルーティーなので甘く感じるんですけど、辛口のお酒なんですよ。甘口でなくても甘く感じるお酒は増えています。
記者 そうなんですね…。じゃあ日本酒度は何ですか?
丸田さん 日本酒度という数値はプラスになればなるほど辛口で、マイナスになれば甘口です。あくまでも酒の中に含まれる糖分の比重を表しているんです。
でも、実際にはアミノ酸やアルコール度数によっても感じ方は違うので、あくまでも目安として見ていただければと。だからプラスで辛口だと思っても「あれ? そうじゃないな」みたいに感じるときは香りがあったりとかが関係しています。
なので、香りがしっかりあるかないか、味がシンプルか濃いかといった分け方で伝えますね。
それを分かりやすくしたチャート図があります。
▽香りが高くフルーティーなタイプ
▽軽快でなめらかなタイプ
▽熟成タイプ
▽コクのあるタイプ
―で大きく分けています。
私はお客さんに飲み比べてもらいながら、こういうチャート図でお酒の味がどこに近かったかを考えてもらいつつ、好みを知ってもらっています。
なので、まずはこのタイプ分けを知ってもらえれば。これが一番、入りやすいと思います。
近年は香りも華やかで味も濃い、要はフルーティーなんだけど甘酸っぱくジューシーに感じる。でも熟成ではないタイプも増えているんです。
「純米」とか「大吟醸」とかでは分からなくなってきているところもあります。
記者 自分で飲んで「これがこのタイプ」って分かるんでしょうか。
丸田さん 完璧を求めるのではなく、「なんとなくこのあたりだね」とかいうくらいでいいんです。
でも飲み比べると明確に違いは分かります。自分の感じ方で好みを見ていくと、選ぶときの目安にはなると思いますよ。
酒屋に行って、この4タイプで好きなタイプだけを買ってもいいですし、それぞれのタイプを飲み比べてみると「これも好きだな」っていうのもあると思います。
記者 自分の推しを選ぶためには、まずはいろいろなタイプの酒を試してみるといいんですね。
丸田さん そうですね。それを知ると、次に米の品種の違いとかで飲み比べてみる人もいます。
酒米の特徴が表れている酒造りも最近は増えています。酒米の「雄町(おまち)」とか「愛山(あいやま)」とかを使ったものはちょっと甘みがあってコクのあるお酒が多くなったりとか、「山田錦」はきれいなお酒が多かったり。最近だと「春陽(しゅんよう)」という米で造ると、ちょっとマスカットっぽい香りがするとか。
というふうに日本酒は多種多様あって面白いんですよ。
同じラベルでも米は農産物なので毎年味わいにも違いがあるんです。熟成される期間によっても味は変わります。なので僕らは「いま出すといいな」とか「これはちょっと半年くらい置こうか」とかすることがあります。