記者　お酒っておいしくて、飲むと楽しくなるのでついつい飲み過ぎてしまいます。
　飲酒によるリスクや問題について教えていただけますか？

　松浦教授　飲酒が元で問題を引き起こすケースは多く、飲酒運転やアルコール依存症、肝臓障害、飲酒の強要など、お酒の持つ負のイメージは強いです。
　
　実際に人体に及ぼす悪影響もあり、医師の立場から「飲むな」と否定するのは簡単です。
　しかし、否定することによって、受け継がれてきた文化や飲酒による円滑なコミュニケーションなど、お酒の持つ良い部分も失ってしまうリスクがあります。

　記者　「飲むな」は確かに私には厳しい…。安心しました。
　おっしゃるとおり、大分県内には魅力的なお酒がたくさんあって、各地で多様なお酒文化が根付いていますよね。
　先生はお酒を楽しんでいますか？

　松浦教授　私はお酒はあまり飲めませんが、楽しい飲み会の雰囲気は好きですよ。

　記者　おいしいお酒を飲みながらだと会話も弾みますよね。私もお酒の席は大好きです。
　飲酒科学振興協会は「やさしい酔い」を提唱していますよね。どのようなものですか？

　松浦教授　「やさしい酔い」とは「適正飲酒」とほぼ同じ意味です。
　単に「節度ある飲酒（節酒）」といった言葉に限定されず、「お酒をいつまでも健康に楽しむ」ために、お酒とどう付き合っていくのが良いか―という考え方です。

　記者　具体的にはどういう行動をとったら良いのでしょうか。

　松浦教授　ノンアルコールカクテルも選択肢に入れるなど、飲む人、飲まない人で分断せず、誰もが楽しく過ごせるようにそれぞれを尊重することが大切だと思います。
　食事やチェイサー（水やお茶など）を交えながら、ゆっくりと味わうのがお酒を長く楽しむコツですよ。

　記者　なるほど。私もゆっくり飲むように心がけなければ…。
　それぞれを尊重することが大切なんですね。


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〈酒と健康②に続く〉
②では、アルコール体質について詳しく解説します。