「アルコール体質は一生変わらない」と説明する松浦恵子教授
記者 お酒に強い人と弱い人がいるのはなぜですか?
アルコールの代謝についても教えてください。
松浦教授 アルコールは人が持つ酵素で2段階に分解されます。
飲酒後、アルコールの約8割が小腸で吸収されます。吸収されたアルコールは血中に入り、肝臓に運ばれます。
その血液循環の中で脳にもアルコールが届き、前頭葉や海馬をまひさせることで気持ちが高揚したり、記憶が飛んだりします。
つまり酔っぱらうということですね。
記者 脳にもアルコールが届くんですね。
肝臓に運ばれた後はどのように処理されるのでしょうか?
松浦教授 肝臓には2種類の分解酵素があり、まず「ADH1B」という酵素がアルコールをアセトアルデヒドに分解します。
アセトアルデヒドには毒性があり、飲酒時の▼顔が赤くなる▼頭が痛くなる▼吐き気がする―といった症状の原因と考えられています。
次に「ALDH2」という酵素がアセトアルデヒドを酢酸に無毒化します。その後、酢酸は水と二酸化炭素に分解されて体外へ出ていきます。
この二つの酵素の働きが強いか、弱いかでアルコール体質が分けられます。
酵素の働きは遺伝子レベルで決まっているので、アルコール体質は一生変わりません。