おおいた温泉道 宮本明洋さん 赤松温泉
日出町を走る国道10号の赤松峠を杵築市山香町方面に進むと、黄色い建物の「赤松屋」の壁に大書された「赤松温泉←」の文字が飛び込んでくる。
日出町藤原の峠道の脇に現れる温泉に誘ってくれたのは杵築市の宮本明洋さん(42)。「湯はもちろん、人とのおしゃべりやつながりを楽しめる、理想郷のような場所がある」
建物に備え付けのスピーカーから流れる演歌のBGMを背中に聞きながら、風呂場の入り口ドアを押し開けると、中にはテント張りの開放的な空間が広がる。風呂場は男女合わせて約千平方メートル。水風呂を含め湯船は五つに区切られており、源泉そのままの熱めの湯船からぬるめまで味わえる。
「その日の気分や体調によって風呂の入り方を変えられる。ぬるめにゆったりでも、熱めに短時間でも思いのまま」
泉質はアルカリ性単純泉。地下900メートルからくみ上げた湯は濁りなく透き通り無臭だ。ぬめりが優しく、滑らかに肌を包んでくれる。男性用の風呂場には金魚のランチュウや小鳥が飼われており、湯の味わいとは違った癒やしをくれる。
宮本さんは2013年の暮れに温泉道に開眼。職場で痛めた腰に温泉が効いたことで、「自分も楽しみながら大分の良い所を紹介したい」と、半年で別府八湯88カ所を巡った。湯巡りの相棒はバイク。「いい温泉に入ると、冬の走行中も湯冷めしない」
宮本さんにとって温泉道とは「人と人との触れ合いの場」。個性際立つ赤松温泉も、地元客やトラックの長距離ドライバーら多くのファンたちに支えられている。「近くで気軽に入れるこんな温泉がある。幸せを感じる」と力を込めて語った。
みやもと・あきひろ 杵築市出身。国東市の医療・介護施設に勤務。今後は九州八十八湯に挑戦予定。地元の防災士協議会の理事を務めるなど、地域貢献にも励んでいる。
午前10時~午後9時。中学生以上300円、小学生200円、幼児100円。不定休。TEL0977・72・8310