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202045日()

東西南北

2019.9.15



 時にカタカナはうさんくさい。歯に衣(きぬ)着せずに言ってしまえば、横文字は危うい。とりわけインバウンドという、何やらどこかに弾みそうな響きの言葉を拝見するたび、近頃はウロンな目になってしまう▼訪日外国人客を意味する。思えば国策でその数を年1000万人にするビジット・ジャパン・キャンペーンを2003年に宣言したのは、政界のプリンスとして今をときめく小泉進次郎環境相の父殿であった。来日客は今年、3600万人に達しそうな勢いという▼なのに、である。彼らが門前市をなしていた由布院温泉の通りからは人波が消え、団体客が外貨を手にレジを占拠していた湯の街・別府の商業施設は、並んで待たずに買い物ができるようになった▼冷え切った日韓関係が理由であることは論をまたない。原因はそっちにある…と感情的になられても、こっちは今まで通りに冷静でいるしかない。と、言っている間に大分と韓国の空を結ぶ国際線が運休し、九州―釜山間の船便は利用が7割減まで落ち込んだ▼ささいな風で足元がぐらつき、吹き飛ばされる。たわわな果実は甘くて栄養たっぷりに見えて、実は苦くてマズい毒も混入している。インバウンドとはそういうものかもしれぬ▼その横文字は、おんせん県にご教示してくれた。よそさま(国外客)にうつつを抜かすのもいいけれど、まずは身内(県民や国民)に好かれる観光地たれ―と。
2019年9月15日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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