松尾芭蕉の句の世界観を表現した本町=竹田市久住町久住
【竹田】竹田市久住町の久住神社に伝わる久住夏越祭りが8、9の両日、同町久住の中心部であった。地元住民が身近な物を使って作った見立て細工の本山車の巡行が名物。今夏も住民が協力しながら仕上げた工夫を凝らした力作が訪れた観衆を楽しませた。
本山車を手がけるのは同町久住の本町、田向町、新町、下町の4自治会。各自治会とも9日の巡行を前に、見立て細工を完成させた。午後8時ごろになると「やーまやーれ」「げーんきだーせ」のかけ声と太鼓や笛の音色とともに住民らが本山車を引き、各自治会や商店街などを練り歩いた。
本町は松尾芭蕉の「閑(しずか)さや岩に染み入る蝉の声」の世界を表現した。ざるや剣道の竹胴、おたまなどを組み合わせて作ったセミの脇に、芭蕉の服装を身にまとった住民が立ち、巡行した。
「西方の四神」をテーマに迫力ある白虎を作ったのは新町。骨組みに白い断熱材で肉付けし、バーナーで焦げ目を付けて虎の模様を表した。陰陽師(おんみょうじ)の安倍清明、巫女(みこ)が脇に立った。
田向町は大河ドラマをヒントに「豊臣の兄弟」にチャレンジ。発泡スチロールや綿を使って騎馬を制作して豊臣秀吉役がまたがり、弟秀長役が脇に立って、本山車を引く住民を鼓舞した。
下町は「シン竹取物語」をテーマに、月からの使者としてペガサスを制作。翼は見栄えを計算し、梱包(こんぽう)材など複数の素材を活用した。かぐや姫役と手作りの甲冑(かっちゅう)を身に着けた武将役も本山車に乗った。
下町出身で毎年、製作作業に参加する会社員藤田修二さん(64)=大分市=は祭りのホームページを立ち上げるなど、伝統行事の存続に尽力する。
「住民はこの時期になると、今年は何を作ろうかと心が踊る。古里を離れていても、毎年、この日のために祭りの担い手として帰ってくる出身者もいるほど」と語る。
各自治会の作業場では参加者が意見を交わしながら、作業に打ち込み、巡行でも表情を輝かせて本山車をけん引する。今年の夏も代々受け継がれてきた祭りの担い手としての情熱に満ちあふれていた。