【1回戦・日本文理-大分商】3回途中から登板し、力強い投球で相手打線を抑えた大分商のエース平田=甲子園球場
第108回全国高校野球選手権第4日は8日、甲子園球場で1回戦4試合があった。第3試合で県代表の大分商が日本文理(新潟)を6―4で下し、1997年以来の夏1勝を挙げた。
第1試合は序盤のリードを守り抜いた青森山田が6―5で粘る遊学館(石川)を振り切った。第2試合は九回に勝ち越した初出場の東日大昌平(福島)が白樺学園(北北海道)との接戦を制した。第4試合は1―1で迎えた七回に3点を勝ち越した英明(香川)が、関東第一(東東京)を下した。
大分商は第9日の13日、2回戦第3試合(午後6時半開始予定)で英明と対戦する。
▽1回戦
大分商
000022200|6
101000020|4
日本文理(新潟)
【評】大分商が中盤に逆転し、粘る日本文理を振り切った。
大分商は2点を追う五回、杉山の安打を足がかりに、小技を絡めて敵失と菅原の適時打で追い付いた。六回には杉山、萱島の連続適時打で2点を勝ち越し、七回にも伊東の2点適時打で突き放した。
投げては三回途中に2番手で登板した平田が力投し、2失点に抑えた。
■いきなり150キロ、球場沸き立つ
大分商の校歌が29年の時を経て、聖地に響き渡った。圧巻の投球で立役者となった平田玲翔主将(3年)は「厳しい試合だったけど、みんなで力を合わせて勝ちきれた」と喜びをかみしめた。
13年ぶりの夏は序盤から試練が訪れた。先発米田泰志(同)が三回に3連打を浴びて2点目を献上。なおも無死一、二塁から、2球ボールを先行させた。「目があって、すごく行きたそうだった」と那賀誠監督。平田の指名打者を解除し、すがる思いでマウンドに送り込んだ。
ろくに肩もつくらず投じた1球目。電光掲示板には「150キロ」が表示され、球場のボルテージは一気に沸き立った。「ピンチは流れを引き込む最大のチャンス」と捉える本格右腕はここからギアを一気に上げ、直球で真っ向勝負。このピンチを併殺と二ゴロの無失点で切り抜けた。
チームの大黒柱が流れを変えると、触発されるように打線が目覚めた。五回に追い付くと、六回に勝ち越し。七回に貴重な追加点となる2点適時打を放った捕手・伊東大雅(同)も「球場の雰囲気が一気にこちらに傾いたので勢いで打てた」と声を弾ませた。
県内の公立校は1999年以来、甲子園の勝利から遠ざかっていた。玖珠町の生んだ投打二刀流は鮮烈な全国デビューを飾るとともに、大きな1勝をもたらした。「大商旋風」は始まったばかりだ。
■2年生杉山が3安打1打点
大分商の5番打者・杉山巧真(2年)が3安打1打点と気を吐き、逆転劇に大きく貢献した。「緊張したけど、先輩たちの気迫がものすごかったのでついて行けた」と謙虚に振り返った。
初回に1安打を放って以降、四回まで走者を出せなかった。五回の先頭打者は杉山。「そろそろこっちの番」と中前打で出塁すると、1死後に中津熊辰己(3年)、中野斗真(同)の相手の焦りを誘うセーフティーバントが決まり、突破口を開いた。
勢いづいた打線は止まらず、六回には1死二塁から杉山が勝負強く左前適時打を放ち、勝ち越しに成功。続く萱島夏空(同)も右中間にはじき返し、この回2点。七回にも2点を加え、完全に主導権を握った。
杉山はベンチ入りメンバー唯一の2年生。日頃から優しく接してくれる先輩のために奮起したといい、「もっともっと長い夏にしてあげたい」と白い歯を見せた。