時速194キロ交通死亡事故と危険運転致死傷罪の改正を巡る主な動き
県警から捜査結果が送られて1年3カ月後の2022年7月。大分地検は194キロ死亡事故に危険運転致死罪を適用せず、法定刑の軽い過失運転致死罪で、ドライバーの男を大分地裁に在宅起訴した。
当時の大分地検は危険運転罪の成立要件である「進行を制御することが困難な高速度」という条文を満たさないと判断していた。
裁判例ではスリップ、スピン、カーブを曲がりきれない―といった明確な事実がなければ、車のコントロールを失ったと認められていない。車線に沿ってまっすぐ進んでいた場合は、スピード違反があっても適用されにくい。
三重県津市で時速146キロの車が引き起こした5人死傷事故(18年12月)の裁判は、加害車両が直進できていたケースでの重要な司法判断とされる。検察側は危険運転罪でドライバーを訴追したものの、一審と二審はいずれも罪の成立を否定。懲役15年の求刑に対し、過失運転罪で懲役7年の判決を言い渡した。以降も同様の判決が続いており、大分地検はこうした法解釈を踏襲したとみられる。
その後、194キロ事故の被害者遺族が「なぜ危険運転にしないのか」と声を上げ、賛同する2万8千筆以上の署名を大分地検に提出した。地検は補充捜査を重ねた上で、22年12月、起訴の罪名を危険運転に切り替える「訴因変更」の手続きを取った。
罪名が変わったことで、裁判の形式も重罪を扱う裁判員裁判となった。検察側と弁護側は危険運転罪の成否を巡り、真っ向から争うことになった。