宇佐神宮で10年に1度、天皇の勅使を迎える「臨時奉幣祭」(勅祭)が古式にのっとり執り行われた。天皇陛下からの御幣物を担いだ随員に続いて勅使が参道を進み、上宮で勅祭に臨んだ=6日、宇佐市南宇佐
全国八幡社の総本宮・宇佐神宮(宇佐市)で6日、10年に1度、天皇の勅使を迎える「臨時奉幣祭(ほうべいさい)」(勅祭)が開かれた。奈良時代に起源を持つ行事で、今回で258回目。境内は厳かなムードに包まれ、県内外から詰めかけた多くの参拝者が見守った。
同神宮の御鎮座1300年記念事業のメイン行事。宮内庁の羽倉信夫掌典(しょうてん)(祭祀(さいし)を担う役職)が勅使として訪れた。
勅使は午前10時半ごろ、天皇陛下からの御幣物(ごへいもつ)(五色の絹)を担いだ随員と共に境内の勅使斎館を出発。古式ゆかしい装束の行列が玉砂利の音を響かせながら参道を進み、上宮へ向かった。一行は勅使門とも呼ばれる南中楼門を通り、本殿前で勅祭に臨んだ。
随員から御幣物を渡された小野崇之宮司が、一之御殿から三之御殿まで順に納めた。天皇陛下からの御祭文(ごさいもん)を勅使が小声で読み上げた後、小野宮司が受け取って各御殿に披露。神前に供えた。
勅使、宮司が玉串をささげ、参列者の代表が拝礼するなどして神事を終えた。
勅祭に合わせ、普段は閉鎖している境内の呉橋(県指定有形文化財)を5日から一般開放。貴重な機会に多くの参拝者が並んで通り抜けた。
京都市から夫婦で訪れた会社員天野代詞孝(よしたか)さん(71)は「昨年末から計画して来た。見栄えのする勅使の行列を見ることができ、呉橋も渡れて貴重な経験になった」と話した。
宇佐神宮の勅祭は720年、大隅・日向の隼人の乱平定を祈り元正天皇が勅使を派遣したのが始まりとされる。同神宮で最も重要な祭事で、1925年から現在の10年に1度となった。
今年は御鎮座1300年と重なり、4日から多彩な関連イベントを開催。この日も奉祝神楽や野だてなどがあった。