台風接近に備えて佐伯市役所に避難した市民=4日午後6時12分、同市中村南町
熱帯低気圧から発達した台風15号は4日、九州の東側を北上した。県内は午後3時ごろから最大風速15メートル以上の強風域に入り、南部を中心に全域で雨となった。大分地方気象台は、5日未明にかけて県内で線状降水帯が発生する恐れがあるとして大雨災害への警戒を呼びかけた。県によると、4日午後7時半時点で目立った被害は確認されていない。
気象台によると、降り始めの3日午後6時から4日午後10時までの総雨量は▽佐伯 271・5ミリ▽蒲江 270・5ミリ▽宇目 169・5ミリ―など。国土交通省や県の雨量計では、佐伯市青山や同市米水津色利浦で1時間に80ミリ以上の猛烈な雨を観測した。
県によると、午後7時半時点で佐伯、豊後大野、玖珠の3市町で計25世帯・29人が避難所に身を寄せた。佐伯市は土砂災害の恐れが強まったとして、午後4時50分に全域に「高齢者等避難」、午後8時40分に「避難指示」を出した。
台風は4日夜遅くに県内に最接近した後、四国方面へ向かった。気象台は「5日も大気の状態が不安定な状態が続くため、落雷や突風の恐れがある。これまでの雨で地盤が緩んでいる所もあり、土砂災害には厳重に警戒してほしい」と話している。
■交通機関で運休や欠航
各交通機関の4日夕までの運行状況(予定含む)によると、JR九州は同日午後、日豊線大分(大分市)―延岡(宮崎県延岡市)間で特急14本、豊肥線大分―宮地(熊本県阿蘇市)間で特急2本を運休した。
午後5時35分ごろ、豊後大野市の豊肥線犬飼―菅尾間で倒木があり、運行を一時見合わせた。
高速バスは、大分―京都線が4、5両日とも運休を決めた。
海の便は、臼杵市と愛媛県八幡浜市を発着する宇和島運輸フェリーが4日夕から5日未明にかけて3便を欠航。国東市の大分空港と大分市を結ぶホーバークラフトは4、5両日で計9便を欠航し、5日午後から再開予定。
■213校で終業時間を繰り上げ
県教委の4日午後3時半時点の集計では、大分、別府など14市町村の公立小中高、義務教育学校、特別支援学校の計213校が4日の終業時間を繰り上げた。5日は大分市内の県立高3校が始業時間を遅らせる。