【Gateオリジナル】ノブインターナショナル(豊後高田市)の挑戦 インドネシア政府の許可を取得し、甲虫類を輸入

インドネシア政府の許可を取得し、甲虫類の輸入販売で業績を上げる「ノブインターナショナル」の馬場信行社長=豊後高田市新栄
インドネシア政府の許可を取得し、甲虫類の輸入販売で業績を上げる「ノブインターナショナル」の馬場信行社長=豊後高田市新栄
  • インドネシア政府の許可を取得し、甲虫類の輸入販売で業績を上げる「ノブインターナショナル」の馬場信行社長=豊後高田市新栄
  • ネットオークションで、15万円で落札された105㍉の「エラフスホソアカクワガタ」。サイズによって1万~20万円ほどで取引される
  • 1回に約1万5千匹を輸入。出荷までの2週間は、従業員総動員で餌やりやおがくず詰めなどの作業に追われる

 2003年4月、当時22歳だった馬場信行さん(44)はインドネシアのジョグジャカルタに滞在していた。カブトムシやクワガタといった甲虫類の輸入ルートを開拓するためだ。日本で人気のあるこうした昆虫は、多くは東南アジアから輸入されている。馬場さんはサプライヤーと呼ばれる仲介業者を探しに数日前からこの国を訪れていた。
 目当てのクワガタが見つからず、翌日には飛行機でジャカルタへの移動を計画していた。その夜、利用する予定だった空港で爆破事件が起きた。「臨機応変に対応するしかない」。もう1日ジョグジャカルタで滞在することに。この予定変更が後に長年のビジネスパートナーとなる男性との出会いにつながる。
 馬場さんはその後、苦労しながら甲虫の輸入販売会社を設立。新型コロナウィルスの影響で売上を落としながらも、インドネシア政府から輸出入の許可を取得するなどし、日本の量販店で販売される甲虫の約90%を占めるまでに会社を成長させた。何がそこまで馬場さんを駆り立てたのか。

■空港爆破による予定変更がパートナーとの出会い

 馬場さんが昆虫の世界にのめり込んだきっかけは、おいっ子のためにカブトムシを捕りに行ったことだった。自然に囲まれ、虫捕りに夢中になった自身の幼少期を思い出した。「なかなか出合えないオオクワガタを1度だけ捕まえたことがある。宝物のようだった」
 その後、外国産の虫や養殖にも興味を持ち、専門店に通い始める。店で出会った人に勧められ、20代で昆虫ショップの店長に。輸入ルートの開拓を任され、単身、現地を訪問した。
 初めてインドネシアを訪れた際、移動先の空港で爆破事件が発生し、予定を変更。急きょ現地でガイドを探した。やって来たのはインドネシア人の小柄な男性。同世代ということもあり、すぐに意気投合した。「もともと親日家で人懐っこい性格。困っている人を助けるというイスラム教の教えもあって親切にしてくれたのだと思う」。馬場さんの仕事に興味を持ち、通訳やガイドだけでなく、サプライヤーを紹介してもらうなどネットワークづくりをサポートしてくれた。以来約20年にわたりパートナー関係が続いている。

 輸入ルート開拓は、実際に甲虫を捕ってもらう「山の人たち」に会うことから始まった。スラウェシ島、ジャワ島、スマトラ島…。さまざまな島に足を運んだ。手土産を持参し、信頼関係の構築を図りながら生息地を案内してもらった。「山の人たち」は普段、パームオイルやコーヒー豆を生産しており、閑散期の副業として採集を依頼した。「もともと農作物にとって甲虫類は害虫なので、話がまとまるのは早かった」。ルート開拓は順調に進んだものの、現地の人との慣れないビジネスは苦労もあった。採集を依頼した昆虫が届かない、代金を流用される、別の業者に乗り換えられる―。「ショックでしたよ。でも『もうしないでね』と言って許しました」。笑いながら振り返ることができるのは、人を信用することが自分への信頼につながると考えているからだ。

 2005年に日本で昆虫販売の会社を設立。当時は大分県内の観光地にある自社店舗で、雑貨などと一緒に昆虫を販売していた。昆虫のカードゲーム人気や自身のテレビ出演などを背景に、滑り出しは上々。県内外に店舗を拡大した。ところが、コロナ禍で状況は一変。観光客頼みだった売り上げは半分にまで落ち込み、「ただぼうぜんとするしかなかった」。

 立て直しへの道を模索する中、インドネシアで輸出規制を厳格化する動きがみられ、現地では信頼のおける取引相手を探す動きが出始めた。「ここにしか活路はない」。すでにルートを持っていたこともあり、本格的な昆虫の輸入販売にシフトした。

■現地が潤わなければ事業は長続きしない

 「現地が潤わなければ事業は長続きしない」。馬場さんはパートナーを通して、資源確保の重要性や労働環境の改善などを政府関係者に何度も伝えていた。輸入を開始し、昆虫販売の世界を知るほど輸入規制の甘さによる密輸など、業界が抱える問題を目の当たりにしたからだ。「昆虫が生き物として扱われていない。安く市場に出すことが正義とされていて、資源へのリスペクトがない」。サプライヤーによる買いたたきで、採集者らの賃金が低いことにも心を痛めた。「彼らがいなければそもそも販売ができない。一番大切にすべき存在」

 規制が厳格化されると、2021年、パートナーの会社を含めた馬場さんが関わる数社はすぐにライセンスを取得。自ら出資し、ライセンスを持つ業者の組合を立ち上げた。コロナ禍で手続きが一時中断し、5カ月間輸入がストップするというアクシデントに見舞われながらも、無事に新たな形でのビジネスが始まった。現地に還元するため、輸入時にかかる税金の一部を環境保全に充てている。さらに天然資源の枯渇を防ぐため、パートナーの会社はインドネシア政府が許可する養殖ライセンスも取得した。

 正規ルートによる安定した仕入れは取引先の信頼獲得につながり、国内の大手飼育用品メーカーや昆虫専門店などから注文が相次いだ。コロナ禍によるペット飼育需要の高まりも追い風になった。2024年には過去最高の年商を記録。量販店に流通する生体の約9割を同社が占めるまでに成長した。昨年は約1億2千万円の売り上げを達成している。
 昆虫の輸出入に関する規制が整備されていない国は多い。いまだに密猟や法律の抜け穴を使ったグレーゾーンの取引は残っている。
 「組合制度を使えば他国でも適正な輸出入ができるはず。世界中にノウハウを広めたい」。正しさを貫き、業界全体を高潔なものにすることが目標だ。

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