柔道女子個人78キロ超級に出場した佐藤雅は、宇佐支援高等部の3年生。決勝でライバルの留学生選手に敗れ、最後の県総体は2位で終えた。 私が彼女に目を留めたきっかけは昨夏の全国総体。全国の舞台で競う中に、支援学校の選手がいることに驚いた。今春にはID(知的障害者)柔道の国際大会にも出場。健常者の大会と並行して、両方に頑張る姿にますます興味を持った。 県総体前の稽古を見学。高田高男子部員との激しい乱取り練習を終えた佐藤に「柔道が好き?」と聞いてみた。返ってきたのは「普通」。ではなぜ続けるのか。「それは、やめても暇だし…」。動画編集やゲームを好み、恥ずかしがり屋でマイペースな素顔に心が温まった。 これまでの記者生活で、障害のある多くの人に出会った。誰にもある得手不得手に、彼ら彼女らはしっかり向き合っているように映った。苦手なことにばかり目を向けてしまう私は、得意なことを楽しんで輝く姿に、いつもはっとさせられる。 高校最後の県総体会場で、佐藤の周りは常に誰かがいた。家族だけでなく、他校や県外から駆けつけた友人までが入れ代わり立ち代わり、そばにいる。試合中は大きな声援が途切れることはない。 「柔道をしてきて、一番良かったのは、友達が増えたこと」。得意な柔道に打ち込み、周りまで明るくするような輝きがまぶしかった。
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