祖父若松常一郎翁に贈られた詩を基にした創作舞踊を披露する若松美佐子さん=中津市諸町
【中津】1944年の水害で決壊した山国川の堤防改修に尽力した若松常一郎翁(1894~1960年)の孫で日本舞踊花柳流師範の若松美佐子さん(66)=同市殿町、芸名・花柳里紗香=が、祖父に贈られた詩を基に舞踊「長唄 嗚呼(ああ)やまくに翁」を創作した。6月1日午前11時から中津市の中津文化会館で開く舞踊会で披露する。
若松翁は福岡県吉富町生まれ。製材業の傍ら、市議や商工会議所会頭を務めた。水害後には私費で50回以上も上京し、国に河川改修を要望。堤防工事は48年に国の直轄工事に取り上げられた。工事関係者に私邸を開放し、食事の世話もしたという。
美佐子さんは2020年に父舜児さん(享年88)、23年に母千里さん(同97)を相次いで亡くしたことをきっかけに仏間に飾られていた詩を見ることが増え、祖父のたどった軌跡を舞踊で表現しようと舞台化を決めた。
詩は若松翁の死去後、胸像が制作された際に贈られたもの。中津市民のために立ち上がり、心血を注ぎ偉業を成したことをたたえる内容となっている。
美佐子さんは「私が3歳の時に亡くなった祖父を思い起こして作品にすることで、もっと身近に感じることができた。祖父から『よくやった』と言ってもらえるよう全身全霊をかけて臨む」と話している。
本番には唄や三味線、はやしの地方計12人を招く。チケット(全席自由・3500円)は同会館で販売している。問い合わせは舞踊会事務局(090-7457-5095)。