(左上から時計回りに)暑い中で水遊びをする子どもら、台風接近で住民が集まった避難所、大雨で冠水した道路、地震の状況を説明する気象台職員
県内は8月、記録的な暑さに加え、地震や台風にも見舞われた。月平均気温は大分市で29・9度に達し、1887年に観測を始めてから最も高温な1カ月となった。初めての「南海トラフ地震臨時情報」に県民は不安を感じ、台風10号は各地に浸水被害や土砂災害をもたらした。当面は暑さが続き、本格的に秋を感じられるのは11月ごろになるとの見方も出ている。
大分地方気象台によると、今夏は太平洋高気圧の張り出しと、チベット付近を中心に広がる高気圧にも覆われたため、晴れの日が多く暑くなった。
県内の15観測地点中、最高気温は竹田市(38・1度)、豊後高田市(37・7度)、佐伯市(36・6度)の3カ所で統計開始以来の記録を更新。日田市では35度以上の猛暑日が観測史上最長の28日間(7月22日~8月18日)続いた。
月平均気温は大分市を含む11地点で過去最高となった。県によると、8月中に熱中症で477人が救急搬送され、前年より97人増えた。
8日午後、日向灘を震源としたマグニチュード7・1の地震が発生。県内は4市で震度4を観測した。気象庁は「南海トラフ地震臨時情報」を発表し、1週間にわたり巨大地震への注意を呼びかけた。初めての事態に住民からは「どう行動すればよいか分からない」と困惑の声も漏れた。
29日から30日にかけては台風10号が県内に接近・直撃して記録的な大雨になった。24時間雨量は佐伯市で474・5ミリ、国東市国見町で384・5ミリと統計上最多の値に。月全体では雨の日が少なかったものの、由布市湯布院町など6観測地点は30日までの72時間で、8月の平年1カ月雨量の2倍を超える雨が降った。
今後の天候について福岡管区気象台は「季節による気圧の移行が例年より遅れており、暖かい空気が流れ込む状態が続くことから暑さは10月まで長引く」と説明。台風シーズンは10月上旬まで続くとの見通しを示す。
相次ぐ災異で宿泊のキャンセルやイベントの中止もあり、観光業界からは穏やかな「行楽の秋」を願う声も聞かれる。ツーリズムおおいたは「8月は残念ながら地震や台風の影響が出た。秋は各地でイベントの予定があり、紅葉狩りやトレッキングにも最適な季節。たくさんの観光客に訪れてもらえるよう情報発信に力を入れたい」と話した。