花の店とがわの社長を務める戸川力太さん。念願のジャパンカップを手に「花で語る人になりたい」=大分市牧
【大分】大分市牧の「花の店とがわ」社長の戸川力太さん(38)が、フラワーデザインの日本一を決める「ジャパンカップ」で優勝した。県内では初めての快挙で「ずっと目標にしてきた大会なのでとてもうれしい」と喜んでいる。
大会は全国の生花店が加盟する一般社団法人JFTD(花キューピット)の主催。6月26、27日に愛知県で開かれ、地方予選を勝ち抜いた89人が出場した。
1次は「花の遊園地」をテーマに持ち込み作品の出来栄えを審査。戸川さんはひび割れた土の台座にさびた鞍馬(くらま)石や赤茶に変色したオオデマリ、青い紅葉を組み合わせて飾り、小さい頃の記憶や時の流れを表現した。
上位20人が進んだ2次審査はブーケ、上位10人による決勝はディスプレーの技を競い、総合得点で1位となった。
大会には2016年から出場。19年から3大会連続で決勝に進んだが頂点には届かなかった。「大会前は作品づくりに集中し、スタッフや家族に迷惑をかけた」という戸川さん。表彰式では「お客さまや教室生、先輩や師匠にも励まされて達成できた」と涙が止まらなかったという。
大分鶴崎高から名古屋市内の大学に進学した。2年の時、初代社長の祖父が亡くなったのを機に家業を継ぐことを決意。大学を中退して東京都のフローリスト養成校で学び、都内の生花店で修業した。
帰郷後は、経営を学びながらフラワーデザインの腕を磨こうと、さまざまな大会に出場。花で自己表現する難しさや面白さを知ったという。2年前から国内外で活躍するフラワーアーティスト佐々木直喜さん(58)の教室(三重県)に通い、「自然や生命に感謝し、自分が美しいと思う花を生けるようになりたい」と1日1作品の制作に取り組んでいる。
次の目標は世界大会。「心に響く花を生け、日本の、大分の戸川と呼ばれるよう、現状に満足せず挑戦を続けたい」と力を込めた。