高市早苗首相(自民党総裁)が北朝鮮を「核保有国」と発言し、波紋を広げた。日本政府は北朝鮮を核保有国と認めておらず、従来の見解と矛盾する。政府関係者は「容認すると周辺国でも核保有の機運が高まり、核不拡散に逆行する動きが出る」と懸念。野党は批判した。衆院選では与野党から核を巡る主張も出ている。
首相は1月26日のテレビ番組でロシア、中国、北朝鮮の緊密な関係に触れ「いずれも核保有国」と言及した。翌27日、佐藤啓官房副長官は記者会見で「北朝鮮が核・ミサイル開発を進めていることを指摘した発言だ。核・弾道ミサイル計画の完全な廃棄を求めていく」と釈明。30日に小泉進次郎防衛相が韓国国防相と会談し、朝鮮半島の完全な非核化へ日韓、日米韓協力の継続で一致した。
中道改革連合の安住淳共同幹事長は27日、記者団に「首相の立場を自覚し発言すべきだ。日本の信頼が揺らぐ」と非難した。
日本を含む約190カ国が加盟する核拡散防止条約(NPT)は、核兵器保有を米ロ英仏中の5カ国に限定する。日本はNPT体制に基づき、米韓両国と朝鮮半島の非核化に取り組む。北朝鮮が核保有国の立場を確立すれば、北東アジアの安全保障環境は不安定さを一層増すためだ。北朝鮮に対抗しようと、日韓両国で核保有議論が活発化することも想定される。
一方、衆院選では与野党が核を巡る主張を展開する。自民と連立を組み、政策推進の「アクセル役」を担う日本維新の会は、米国の核兵器を日本に配備し共同運用する「核共有」を含む議論の開始を掲げる。
参政党の神谷宗幣代表は討論会で、日本防衛のため「核もタブーにせず、抑止力について議論すべきだ」と強調。日本保守党の百田尚樹代表も「抑止力が最も大事だ。核の議論は避けて通れない」と訴えている。
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