来春から自転車の青切符制度スタート。高校生の安全意識も向上、ヘルメット着用の効果とは?
高校生の自転車乗用中の死傷者数の割合は全体の4倍、なのにヘルメット着用率はたった1割。高校生の声から明らかになった自転車ヘルメット着用のカギになるものとは?

2024年の自転車乗用中の10万人当たりの死傷者数は、⾼校生年代の15-19歳が218人で、全体の53人に比べると4倍に上ります。しかし自転車事故時のヘルメット着用率は、高校生は11%にとどまり、中学生の70%と比べて非常に低くなっています。
2026年4月からは、16歳以上を対象に自転車の交通違反に対して「青切符(交通反則通告制度)」も導入されます。
このような現状を受け、オージーケーカブト(代表取締役社長:木村弘紀)は、高校生の自転車乗用中のヘルメット着用や交通安全に対する実態を探るべく、調査を実施しています。
自転車通学時のヘルメット着用を公立高校に「義務化」している都道府県は1割強のみ
先に実施した、各都道府県の教育庁(教育委員会)への高校生の自転車用ヘルメット着用に関する指導・対策方法についての一斉調査では、自転車通学時のヘルメット着用を公立高校に「義務化」している都道府県は1割強にとどまっていることがわかりました。
5月1日は「自転車ヘルメットの日」全国の教育庁へ一斉調査、公立高校への「義務化」は全体の1割強
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× 義務化していない理由としては、学校側教員への業務負荷増の懸念、また生徒保護者へのヘルメット購入費用負担などが主なものでした。
加えて、教育現場からは「生徒の自主性に任せ、大人はそのサポートをする」という教育方針が主流で、「強制」することが時代に合わないと配慮する声も聞こえてきます。
一方で、早くから高校生に自転車通学時のヘルメット着用を義務化している県は、県全体のヘルメット着用率向上にも貢献していることがわかりました。
実際にヘルメットを着用した高校生の多くは有効性を感じ、「課題はない」と回答
そこで今度は、高校生たち自身はどう考えているのか生の声が知りたいと、自転車通学時にヘルメットを着用し始めた大阪・兵庫・福岡の高校生4,440名へアンケート調査を実施しました。
ヘルメットを着用し始めた高校生に前向きな変化。「交通安全への意識が高まった」「慎重な運転になった」が85%以上!
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× 調査の結果、自転車通学時にヘルメットを着用し始めた高校生の95%が頭部を守るために有効だと感じ、さらに90%が「ヘルメットを着用する上での課題はない」と答えました。

これは、子どものヘルメット着用努力義務化が2008年だったので、今の高校生は幼少期からヘルメットを着用してきた世代で、抵抗感が少ないからかもしれません。
一方で、「着用したくても周りが着用していないから恥ずかしい」という声もありました。
ヘルメット着用の校則化、満場一致で賛成。「県内で統一してほしい」
愛知県ではこの夏、愛知県警察交通部主催による「ヘルメット着用を考えるシンポジウム」が開催され、2日間で県内の合計39校48名の代表生徒たちが参加しました。

そのなかで生徒からは、「ヘルメットを着ける人が少数派であるため、周りに合わせて着用を避ける生徒が多くいる」などの実態が紹介されました。
そして、ヘルメットの着用を校則で定めることについての賛否を問われると、不公平感が出ないよう「県内で統一した方がいい」という意見とともに、満場一致で賛成となりました。


愛知県に先駆け、福岡県警察では高校生自身が正しいヘルメットの着用を促進し、その有用性を訴求する活動に取り組む「高校生自転車ヘルメット着用促進リーダーズグランプリ」を実施。福岡県警察や教育委員会が連携し、2025年4月から全県立学校に対して自転車通学時のヘルメット着用義務化に踏み切っています。
これを受けて愛知県でも同様に、高校生がヘルメットの着用促進に向けて様々な活動を行う「命を守るヘルメット着用促進グランプリ」を現在実施しており、愛知県警察や多くの地元企業とともに、当社もヘルメットメーカーとして協力しています。
(👉愛知県警察本部が現在開催中の「命を守るヘルメット着用促進グランプリ」はこちら)
高校生の自転車用ヘルメット着用が進まない理由は校則化されていないから?
アンケート結果や愛知県での事例から、実際にヘルメットをかぶってみた高校生の抵抗感は少なく、「県全体で校則化されることには賛成」という意見が多いものの、「周りが着用していなければ、合わせて着用を避けたい」という意識があることが明らかになりました。
このことから、高校生の自転車乗用中のヘルメット着用率向上には、通学時の「校則化」が一つのカギになりそうです。
しかし国および地方公共団体の「国民の生命と財産を守る」責務から、警察はヘルメット着用に積極的なのに対し、教育関係者はさまざまな理由から慎重にならざるを得ない声も聞かれます。この後、公立高校の義務化はどうなっていくのでしょうか。
いみじくも12月1日に開催された「自転車活用推進議員連盟」による総会の場で、橋本聖子会長が行った結びの挨拶の内容を紹介したいと思います。
「とくに自転車を活用したまちづくりを推進する全国市区町村長の会の方にはお願いしたいのですが、やはり小学校・中学校・高校生のヘルメット普及率は、ぜひ100%にしていただきたいと思います。これはサイクリストとして私も長く競技をやってきましたけれども、そういう立場からすると、自転車に乗るときにヘルメットをつけていないということはあり得ない、という感覚なんですね。〜中略〜 自転車というのは、ある意味で危険な乗り物でもありますし、ルールを守るということ、そして人の行動をしっかり見るということの視野を広げる教育が大切だと思っています」(画像提供:バイシクルクラブ編集部) 12/2記事「自転車の安全な走行空間確保を! 超党派の自転車議員連盟総会が開催、金子国交相が決意表明」
ちなみに着用率で全国下位の常連だった千葉県は今年8月、県教育委員会より県立高校に対し「必ず着用を求める」との方針を示し、通学許可の条件とするよう通知したとのことです。愛知県ほか、全国の市区町村においても今後の動きに注目していきたいです。
2026年4月からは自転車の青切符制度もスタート。ヘルメット着用で安全運転意識の向上にも期待
さらにアンケートでは、自転車運転中の「ながらスマホ」などの罰則整備(2024年11月から)については、85%が「知っている」、2026年4月1日から交通違反反則金を納付する「青切符」が導入予定ということは、61%が「知っている」こともわかりました。
しかしながら自転車を安全に利用するためのルールの認知度は低く、実際に、高校生による自転車の並進、二人乗り、信号無視、一時停止違反、スマートフォンを使いながらやヘッドフォン/イヤホン着用など、さまざまな苦情が学校や各自治体に寄せられている現状もあります。
ヘルメットを着用し始めた高校生の85%以上が交通安全への意識の高まりや安全運転への前向きな行動変容があったこともアンケートから明らかになっており、ヘルメット着用率の向上とともに、安全運転意識の向上にも期待できそうです。

(警察庁による「自転車ルールブックー交通反則通告制度(青切符)の導入ー」リンク)
まずは高校生を守り、そして社会全体で自転車用ヘルメットを当たり前に

今日も自転車にまつわる事故はおよそ8分に1件、全国のどこかで発生しています。
事故に遭った方の多くはまだヘルメットを着用していません。
「かぶるきっかけが事故では遅い」
まずは高校生を守ることから、そして社会全体で自転車用ヘルメットを着用する気運を醸成していくことが重要だと考えます。
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