オススメの聞牟禮鶴(右)、牟禮鶴黄鐘(中)、かぼすリキュール無糖(左)
それでは、蔵を代表する銘柄を紹介していきましょう!
▼牟禮鶴 黄鐘 黄色のラベルが目を引きます。
焼酎を生み出す蒸留機内の圧力を変えない伝統的な「常圧蒸留」といわれる製法が使われています。高温でもろみを沸騰させるため原料の風味を引き出し、麦の香ばしさと濃厚な味わいを堪能できる個性が魅力です。いつまでも口の中に
芳醇さが残ります。
同じ原材料で、蒸留機内の気圧を下げて低温で蒸留する「減圧蒸留」で造った緑色ラベルの「
壱越」もあります。もろみ造りまでは酵母やこうじも同じでありながらも、こちらはほのかな麦の香りですっきりとした後味です。
それぞれの名称は音楽が由来となっています。「黄鐘」は中国音階で1音目(西洋音名のラ)、「壱越」は雅楽など日本伝統音楽の音階で1音目(現在のレ)。
いずれも蔵にとって基本になる焼酎との思いが込められています。先代の妻が能楽をしていたことも関係しています。
森代表は「この二つは兄弟だけど性格が全く異なる。蒸留方法で生まれる違いを楽しんでほしい」。
▼聞 牟禮鶴 2015年に栽培が始まった大分県オリジナルの焼酎専用麦「トヨノホシ」を全量使用しています。地元・豊後大野市産です。
トヨノホシは2005年から大分県農林水産研究指導センターと大分県酒造協同組合が共同で研究開発をし、森代表も開発に携わりました。耐病性を高めて栽培しやすく、雑味がない味が特長です。
黄鐘、壱越とは酵母を変え、もろみを通常よりも長期で低温発酵させることで「ゆっくりと華やかな香りが出るんです」。日本酒のようなフルーティーさを感じられます。
ただ飲むだけでなく、豊かな香りをじっくりと楽しんでほしいと、「香りを聞く」から「
聞」と名付けられました。
ラベルをよく見てみると…分かりますか? その特長をイメージさせる鼻の形がデザインされています。
▼かぼすリキュール 2024年夏に販売を始めた新しい商品です。
地域活性化や魅力発信を図るため、「豊後大野市内の旧町村のリキュールを造れたら面白いんじゃないか」と2023年にリキュール製造の免許を取得し、立ち上げた企画の第1弾。地元の素材をアピールする狙いもあります。
豊後大野市緒方町の食品製造業「あねさん工房」が栽培したカボスを使っています。
無糖タイプと加糖タイプの2種類。無糖はアルコール度30%。どちらかというと“左党”の方が炭酸割りで楽しむ想定です。加糖はアルコール度12%でお酒を普段飲まない人もおいしく味わえるように造ったそうです。
いずれも大分県内外の特約店で取り扱っています。
どれもゆっくりと堪能したいものですね。まず一杯目を何にするか、悩ましいところです。
ちなみに私のオススメは牟禮鶴「黄鐘」です。
(大塩信)