中野酒造=杵築市南杵築

おおいた酒蔵探訪記 みんなのGateリサーチ

2025年10月10日

世界中の愛好家を魅了する日本酒「ちえびじん」

店内には自慢の酒がズラリと並ぶ

 豊かな自然と江戸時代からの町並みが残る杵築市。歴史が息づく城下町の西側に城下町杵築唯一の酒蔵・中野酒造がひっそりとたたずんでいます。

 城下町に溶け込む日本家屋ののれんをくぐると、土間に酒造自慢の酒がずらりと並びます。レトロな情緒に癒やされながら奥に進むと一転、きらびやかな装飾が美しい迎賓館のような空間が広がります。
 日々訪れる日本酒愛好家らをもてなす客間だといいます。
 蔵の内装からも酒造りのこだわりが伝わってきました。


 創業は1874(明治7)年。初代女将にあやかり「智恵美人」と名付けた看板商品は、酒蔵の歴史そのもの。約150年間、地元で愛され続けています。


 創業当時から変わらず、仕込みには蔵の地下200メートルから湧き出る「六郷満山の御霊水」を使用。蔵の中心部にある井戸からは常に澄み切った地下水が湧いています。


 地元で育まれたコメや水で醸す中野酒造の酒はやわらかな口当たりが特徴で、世界中の愛好家らを魅了しています。歴史ある酒蔵を2007年、中野淳之あつゆき社長(46)が6代目として継承しました。

 当時、世間は第3次焼酎ブーム。日本酒の売れ行きが低迷する中、中野酒造も苦戦を強いられていました。
 安価な紙パック酒なども販売していましたが、「自社の商品として自信の持てるものではなかった」と中野社長は語ります。

「これまでの日本酒の印象を変えたかった」

ワイン評論家やソムリエから高評価

6代目の中野淳之社長

 中野社長は「時代に合った、自分の造りたい酒」を見つけるため、全国の地酒を飲み歩きました。
 そんな中、東京のおしゃれなバーで若者がワイングラスで日本酒を傾ける様子に出会い、「こんなシーンに合う酒が造りたい」と思うように。
 苦しい現状からの脱却を目指し、酒蔵の新ブランド「ちえびじん」シリーズを立ち上げました。

 「やわらかく、親しみやすい印象に」と、商品名は漢字から平仮名表記に。イメージカラーもピンクにすることで伝統を受け継ぎつつも、女性や若者といった新たな層に受け入れてもらえるようにとの思いが込められています。


 全商品に通じる味のコンセプトは「優しい甘みときれいな酸」。中野酒造が醸す酒は多くの食材、料理との相性が良く、食中酒としての完成度はピカイチです。


 古風で時代遅れ、悪酔いしそう、おしゃれじゃない…。

 「これまで負のイメージがあった日本酒の印象を変えたかった」と中野社長。旬の料理に幅広く対応できるようにと季節限定商品も年1品のペースでリリースし、今では11種類にまで増えました。


 試行錯誤の中、転機が訪れたのは2018年です。

 ちえびじん純米酒などの主力商品が海外のワイン評論家やソムリエらに高い評価を得ました。
 「芳醇ほうじゅんな香りや優しい酸味がワインに通じるところがあり、海外でも受け入れてもらえた」と中野社長。
 
 元サッカー日本代表の中田英寿さんも高く評価。中田さんがプロデュースする日本酒イベントに招かれたこともあったそうです。


 最近は人口減少に加え、世間では若者の酒離れがいわれています。

 中野社長は「いい意味で、いかにお酒らしさから離れられるかが鍵だった。コメの品質や酵母の種類、磨き具合などのおいしい日本酒を造る基本はもちろんだが、お客さんにどうやって飲んでもらうか、どんなふうに提供するか―をイメージしながら、こだわりを持って商品を造ってきた」
 「今後も飲酒人口が減り続けている厳しい現状が続くが、お客さんの声を聞きながら地元産にこだわったいい酒を届けていきたい」
 これからも、地域とともに成長し続ける決意を力強く語ってくれました。

ちえびじん 純米酒(右)、ちえびじん 紅茶梅酒(中)、ちえびじん ドルチェ(左)

 記者も舌鼓を打った、中野酒造の人気商品を私見も交えながら一部紹介します。


 ▼ちえびじん 純米酒
 ピンクのラベルが鮮やかで、ひときわ目を引きます。
 原料には杵築市産のヒノヒカリを使用。ワイングラスで香りを楽しみながら飲むのがお勧めです。
 一口飲めば、芳醇な香りとフルーティーな甘みが口いっぱいに広がります。やわらかな口当たりは、和食から洋食まで幅広い食事を引き立たせます。
 2018年には、有名レストランのシェフやソムリエらが審査するフランスの日本酒コンクール「クラマスター」で約650品中、最高賞を受賞。新時代を迎えた中野酒造の看板商品へと成長しました。


 ▼ちえびじん 紅茶梅酒
 中野酒造のナンバーワンの売り上げを誇る商品です。
 蔵の地下水で水出しした杵築市産の紅茶・べにふうきと、同じく杵築市産の南高梅が華やかな香りと甘みを生み出しています。渋みのない上品な甘さは、食前、食中酒など活躍の場面が広がります。
 国内外問わずファンが多く、海外の紅茶愛好家もうならせているのだとか。午後のティータイムにスイーツと一緒にいただけば、なんとも優雅な気持ちにさせてくれます。
 お酒初心者にもぴったりです。


 ▼ちえびじん ドルチェ(季節限定酒)※数量限定
 2023年に誕生した季節限定の人気商品。高級スイーツをほうふつとさせるおしゃれなデザインは贈り物や特別な日の一本に最適です。
 通常、仕込みには水を使いますがドルチェはぜいたくに日本酒を使用。この造り方で醸す酒は「貴醸酒」と呼ばれ、特別な席で出されてきました。
 さらに1年間熟成させることで、甘さやうまみを凝縮させ、濃厚な味に仕上げています。
 ペアリングには濃いめの料理やチョコレートなどが相性抜群。飲み方は冷酒のほか、常温やぬるかん(42度ほど)で飲むのもお勧め。まろやかな風味を堪能できます。


 お酒が飲めない人には、杵築市南杵築の日本酒酒場・芳の芽とのコラボ商品「純米酒かす濃厚チーズケーキ」もオススメです。
 私は、このチーズケーキとちえびじんドルチェのマリアージュにドハマりしました。

(三井祥聖)

【中野酒造】

創業当時から変わらず、蔵の中心部にある井戸から天然水が湧いている

 ▼所在地 杵築市南杵築2487の1
 ▼営業 平日と第1と第3土曜日の午前9時~午後4時半。蔵見学は要予約。
 ▼ホームページ https://chiebijin.com/
 ▼問い合わせ 0978-62-2109

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