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202049日()

東西南北

2020.1.26



 今年の元日、県南の山間部にある実家の集落で初めて氏神様の初詣のお世話をした。過疎化が進み、氏子は40軒弱。90代半ばの祖父が本年度の総代なので、母に頼まれて孫として代理を務めた▼「初参り」と呼び、参拝者にお神酒などを振る舞うささやかな新年行事だ。実家には毎年帰省しているのに、参加したことすらなかった▼古びた小さな社は数十段のこけむした石段を上った先にある。開始は午前8時。前年までは年明けの夜中だったが、参拝者が減り、朝の方がいいだろうと変えたという▼訪れた人が慣れた手つきでドラム缶にたき火をおこしてくれた。火を囲んでお神酒を片手に世間話になり、筆者はもっぱら聞き役。やはり「人が少ない」との話になる。「地区の役員をできる人が限られた」「働いている現役世代は数えるほど」等々。過疎地の日常がうかがえた▼「そろそろ片付けますか」とお開きになるまでの1時間ほどに参拝者は8人。足腰に不安のある高齢者は石段がこたえるので足が遠のいているらしい。日中暖かくなってからや正月2日以降に参る人はいるようだ▼氏神様は意識してきたし、子どものお宮参りもした。ただ、集落でどう守り受け継いでいるのか。これまで思い至ることがなかったことに気付いた▼この先いつまで続けられるのか。実家を離れて暮らす自分に何ができるのだろう。4回目の年男の年初に考えさせられた。
2020年1月26日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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