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202049日()

東西南北

2020.1.23



 平成時代の大分県高校野球で記憶に残る選手を挙げよ。そう問われて、幾多の顔と名が浮かんでくる方もいよう。多くの好打者、エースが県球界を彩った▼昭和が終わった1989年以降の30年間で、県代表で春・夏の甲子園に立ったのは延べ43校に上る。それぞれにドラマがあり、語り継がれる名シーンも多い▼安達公則(きみのり)。日田市出身の彼は、冒頭の解として五指に入るだろう。大分商業の2年投手だった97年、春夏連続出場の甲子園で躍動した。キレのある速球、落差の大きい縦のカーブ、強気の内角攻め。背番号「12」は頼もしかった▼夏の大分大会準々決勝で別大付属(現明豊)との延長18回引き分け再試合を一人投げ抜き、続く大舞台では初戦で桑名西(三重県)を零封。あの鉄腕・稲尾和久さんをして「久々に度胸のある好投手だ」といわしめる右腕だった▼九州国際大と東京ガスで活躍した安達さんは昨年8月、急性喉頭(こうとう)蓋炎(がいえん)で帰らぬ人となった。同社コーチを務め、前日まで元気だったという。享年39。あまりに早過ぎる▼13年夏に母校が大分大会を制した際、仕事を休んで帰郷し、後輩の歓喜を球場で見届けた。「僕ら以来ですからね。うれしいっスよ」。彼の弾む声が忘れられない▼あす24日、春のセンバツ出場校が決まる。順当ならば、昨秋の九州地区大会決勝を戦った明豊と大分商に吉報は届くだろう。喜ぶ安達さんの笑顔が見たかった。
2020年1月23日

東西南北

 

 大分合同新聞の顔とも言えるコラムです。朝刊1面に掲載。短い文章ですが、政治や世の中の動き、いま話題の事柄を鋭く、時に風刺の効いた、心温まる筆致で描きます。故事来歴などのうんちくも豊富。文章に親しみ、物事を考えるヒントにもなる。それが「東西南北」です。

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