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202049日()

置き去りにされる少数者「H」や「D」

▼読売テレビの報道番組『かんさい情報ネットten.』で5月、飲食店の常連客の性別を明らかにしようと、お笑い芸人が体を触ったり、保険証の性別欄を確認したりした問題で、放送倫理・番組向上機構(BPO)の放送倫理検証委員会が12月10日記者会見を開き、人権の尊重に反したとして「放送倫理違反があった」とする意見を公表した。取材した同僚記者によると、その席で、性的少数者のLGBTへの配慮を欠くと問題となるが、「はげ」や「でぶ」については問題にならないのはおかしくないか?という話も出たそうだ。

▼筆者の私ははげの端くれ。その私から見ればフサフサのお笑い芸人が、下を向き、カメラが頭頂部を捉えると、別の芸人が「はげとるやないか!」と突っ込むのをはじめ、はげ差別な表現は日常的に放送されている。私は、BPOにはげ差別番組の審理をしてと願うつもりは毛頭ない。ただ、テレビを見ていると、膝カックンされて崩れ落ちるような感覚になることがあるので、その一例をここに。

▼夏、NHKで放送されたドラマ『これは経費で落ちません』第4話。主人公の経理部員・森若(多部未華子)と、森若にほれている「好青年」(←番組公式サイトがそう書いている)の山田(重岡大毅)のやりとりを見ていた時のことだ。

☆森若:「50万円払えば、輝かしい未来が保障されると言われたら払いますか?」

☆山田:「輝かしい未来を保障? ありえませんって。だって未来は今の自分が決めるものというか。そりゃうまくいくことばかりじゃないですし、不満もあるし、失敗だらけですけど、今はここで生きてるというか。そもそも俺は未来なんかじゃなく、今が一番輝いていると思います。10年後、はげてるかもやし」

▼(筆者)は? 最後のやつ要るか? おい山田。

☆森若:「そうですよね。私もそう思います」

▼多部ちゃんまで・・・。「はげ=劣る」という「前提」を疑わぬ作り手の皆さまよ。まあしかしドラマだ、この程度でいちいち腹を立てていては身が持たない。もっとひどいのがある。一、二年前、電車の中だったろうか、クリニックか何かの広告の、「救世主」気取りの宣伝コピーが、目に飛び込んできた。

『地球から薄毛の人がいなくなる。』

私は生きてちゃいけないのか・・・。(敬称略)

(宮崎晃の『瀕死に効くエンタメ』第130回=共同通信記者)

2019年12月12日

エンタメ記者コラム

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