「リレーコラム」敗戦から何を学ぶか

サッカーU―20W杯に挑んだ日本



 正直、悔しさが募った。サッカーのU―20(20歳以下)ワールドカップ(W杯)ポーランド大会に臨んだ日本は決勝トーナメント1回戦で韓国に0-1で敗れ、16強にとどまった。

 3週間弱にわたって現地で取材したことで、応援したい気持ちが強くなり、もっと勝ち進めると思ったチームだったからこそ生まれた感情だった。

 U―20W杯は2年に一度開催される。4年に一度のフル代表のW杯に比べれば、注目度は下がるが、将来のスター候補が世界中から集う真剣勝負の場だ。

 だからこそ大会前、5月7日のメンバー発表は議論を呼んだ。昨年のU―19アジア選手権の主力だった18歳の久保建英(レアル・マドリード)や安部裕葵(鹿島)らの名前がなかったためだ。

 U―20W杯と同時期に、東京五輪年代となる22歳以下の編成で臨むトゥーロン国際大会や、フル代表で参加する南米選手権が重なったことが主な理由だった。

 日本サッカー協会(JFA)は、若い選手が将来的にフル代表で活躍することを視野に、より高いレベルを経験させることを優先した。

 U―20W杯での「目先の勝利」より、その先の個人の成長を重視したといえる。

 関塚隆技術委員長は「それぞれに適したところを見定め、全カテゴリーの監督が一つの目標に向かって進む。協会が一つになって選手を育て成長させていく」と説明。実際、久保や安部は南米選手権に臨むフル代表に後に招集された。

 いわゆるベストメンバーの定義は難しいが、中心選手が不在となったU―20日本はエクアドル、イタリア、メキシコの難敵がそろった1次リーグで苦戦するとみられた。

 しかし、主将の斉藤未月(湘南)を中心にまとまって攻守で組織的に戦い、個々も存在感を示し、1勝2分けの2位で堂々と決勝トーナメント進出を決めた。

 8強入りを懸けた韓国との一戦は勝ってもおかしくない内容だった。

 前半は圧倒的に押し込んで、日本ペース。後半は早々にビデオ・アシスタント・レフェリー(VAR)の検証で郷家友太(神戸)の得点が取り消され、宮代大聖(川崎)のシュートはポストに阻まれた。

 そして延長もちらつき始めた後半39分、自陣でのパスミスから球を失い、その流れで痛恨の失点。得点機を逃し続けた代償は大きかった。

 試合後のミックスゾーン。涙を流し終えた選手が続々と取材に応じる中、すがすがしい表情で現れた斉藤未の言葉が印象的だった。 「僕はロッカールームでチームメートに『泣きべそをかいて、記者の人やみんなの前に出るのは俺らのチームらしくない。なんなら笑顔で出てやろうじゃないか』と話した。負けたからといってサッカー人生が終わるわけじゃないし、運がいいことに、これはU―20W杯で、東京五輪もフル代表のW杯もあって、Jリーグもある」

 決して「負け惜しみ」の言葉ではない。勝敗を分けた1点の重みを痛いほど理解し、その悔しさを晴らせる舞台を努めて前向きに見据えた上での発言だろう。

 U―20W杯で敗退しても、若きイレブンには幸運なことにプロサッカー選手として目指せる場所は残されている。

 韓国戦に敗れたメンバーの悔しさは計り知れない。ただ、いずれの選手もU―20W杯に出場したからこそ得た手応えや課題などを口にしていた。

 U―20日本の影山雅永監督は日々の練習や試合から高い強度でプレーする必要があると説いた。敗戦から何を学ぶかが重要だ。

 日本サッカー協会が一連の大会をめぐるメンバーを選考する上で行った判断の成否も長い目で見なければいけない。

 中期計画では東京五輪でのメダル獲得や22年W杯カタール大会での過去最高成績を目標に掲げ、長期目標ではW杯の優勝を目指している。

 今回のU―20W杯が日本サッカーの発展につながると信じ、その道筋を今後も追っていきたい。

大島 優迪(おおしま・まさみち)プロフィル

2014年入社。大阪社会部での行政取材を経て、15年6月から大阪運動部でサッカーのJ1広島、大相撲などを担当。16年12月からプロ野球の阪神を取材。18年12月からJ1神戸や一般スポーツをカバー。神奈川県出身。

2019年6月26日

スポーツリレーコラム

共同通信記者たちが見たスポーツ界の裏側をお見せします。

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