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「サッカーコラム」大混戦のJ2 昇格争いから目が離せない

 気が付くと、J2の上位争いがすごいことになっていた。全42節を戦うJ2も終盤に入った第33節が終了した9月23日時点で、勝ち点66の柏が2位に勝ち点差8を付けて首位に立っている。大混戦なのは2位以下。2位の山形(同58)から11位の長崎(同50)が勝ち点差8の中にひしめいているのだ。

 中でも、昇格プレーオフ圏内の6位までの“混雑ぶり”はすさまじい。山形の勝ち点差1の同57で3位・横浜FCと4位・水戸、5位・大宮が並び、さらに勝ち点差2の同55に京都が続く。勝ち点差3といえば、1試合で順位が入れ替わる。野球でいえば、「1ゲーム差」ということになる。

 残り9試合。ちなみに、7位でプレーオフ圏外の岡山も京都との勝ち点差2の同53。8位甲府と9位徳島は同51で10位金沢と11位長崎が同50、と十分追いつける範囲にいる。J1昇格のチャンスがあるだけに、各チームとも必死に戦うに違いない。加えて、2位以内ならばJ1に自動昇格できる一方で残り4チームは「最後の一枠」を巡ってプレーオフを勝ち抜かなければならないことも拍車を掛けるだろう。現時点で最終結果を予想するのは、かなり困難といえる。

 J2は浮き沈みが激しい。1年でチームの表情ががらりと変わってしまう。昨シーズン、優勝争いに絡んでいた町田は現時点で何と降格の恐れがある19位に沈んでいる。J2は活躍した選手が引き抜かれることが多いため、J1以上に選手の入れ替わりが頻繁というのもあるのだろうが、改めて難しいリーグということを痛感させられる。

 世間の関心がラグビーのワールドカップ(W杯)に向くなか、台風17号のために9月16日に延期されたFC琉球対山形をテレビ観戦した。この試合には見たいと思える個人と、チームがいたからだ。

 まず、個人。それは、8月にJ1札幌から琉球に加入した39歳の元日本代表・小野伸二だ。札幌では今季、出番がなかったのでプレーを見る機会がなかった。例えば、アルゼンチンで「歴代で誰が最もうまいか」という投票を行ったら、意見はマラドーナとメッシに二分されるだろう。ところが、日本で同じ質問をしたら多くの人が「小野伸二」と答えるのではないか。いや、もう一人、肝心な選手を忘れていた。「中村俊輔」がいるではないか。

 長らく、プレーを見ていなかったので小野に対する渇望感が高かったのもあった。とはいえ、久しぶりに見た小野はやはり面白い。そして、とにかくうまい。すぐには気づかないのだが、画像を見直すと小野のすごさがよく分かる。何げないダイレクトパスにも意図と解釈が込められている。しかも、それは誰にでも理解できるのだ。

 「シンジは一緒に働いたなかで一番よい選手だった」。最大級の賛辞を贈るのは、ベルト・ファンマルバイク。オランダ・フェイエノールト時代に小野を指導し、2010年のワールドカップ(W杯)南アフリカ大会では母国・オランダを準優勝に導いた名将だ。マンチェスター・ユナイテッドなどで活躍した、世界的ストライカーのロビン・ファンペルシーも「オノは天才。オランダ代表でオノよりうまい選手はいなかった」と語っている。この言葉に間違いはない。そのプレーを多くの人に披露する機会をつくった琉球は、それだけで成功したといえるだろう。

 39歳として臨む最後の一戦、先発した小野は交代する後半11分までの56分間、期待にそぐわぬプレーを見せた。トラップ、ボールの置き所、キック。繰り出す全てのプレーは簡単そうに見えて、創造的。だが、あくまでも基本に忠実だ。中でも、前半41分のスルーパスは美しかった。左サイドに体を向けながらノールックのまま、右足アウトで出した瞬間、体が震えた。残念ながら抜け出した富所悠の左足シュートは左ポストを直撃したが、得点に至らなくても「小野伸二」を十分に満喫できる場面だった。

 一方、4年ぶりのJ1昇格を目指す山形はチームとして結果を残さなければいけない試合だった。前節まで2位とはいえ、ライバルたちに対するアドバンテージはわずか。敗れれば4位に転落。失点の数によっては5位まで落ちる可能性もあったからだ。

 前半30分に先制点を奪われたが、その後の逆転劇は見事だった。後半11分に坂元達裕の左足、後半32分のPKをジェフェルソン・バイアーノが決めて逆転。そして、後半36分には右からのクロスが琉球のオウンゴールを誘い3―1と2点差をつけた。残り10分あまり。前節まで33試合で24失点とリーグトップの堅守を誇った山形にすれば、セーフティーリードと思われた。しかし、終盤に3―3となる予想外の展開が待っていた。

 「逆転までいった。そこまではよかった」

 山形・木山隆之監督が語っていたように、3―1になった時点では確信とまではいかなくてもかなりの確率で勝利に近づいたと思っていたはずだ。その意味でチームとしては勝ち点1を積み上げたというよりも、勝ち点2を失ったという感覚が強いだろう。

 確かにアディショナルタイムに入った後半46分に琉球のFW上原慎也が放ったシュートは見事だった。ただ、本来は堅いはずの山形の守備が2点を立て続けに失ったのは、たまたまなのか、それとも精神的なものなのか。例えば、後半39分のPKを与えたプレー。33歳の本田拓也が上原を倒したのだが、日本代表にも名を連ねたことがあるベテランとは思えないほどの無謀なチャージだった。これが「勝たなければいけない」という焦りからくるものならば、山形に限らず昇格争いに絡むチームは精神面との戦いも抱えることになる。

 J2において2位と3位は、まさに「天国と地獄」。残り9節。J1昇格争いは間違いなく面白くなる。そして、小野伸二という“芸術品”も鑑賞できる。秋の夜長、J2を楽しもうじゃないか。

岩崎龍一(いわさき・りゅういち)のプロフィル サッカージャーナリスト。1960年青森県八戸市生まれ。明治大学卒。サッカー専門誌記者を経てフリーに。新聞、雑誌等で原稿を執筆。ワールドカップの現地取材はロシア大会で7大会目。

2019年9月26日

サッカーコラム

サッカージャーナリスト・岩崎龍一氏による詳細な分析です。

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