汚水 家庭で注意を

下水道で「硫化水素」発生事故



 大分市豊海の市公設地方卸売市場内で10月中旬、下水道管内の清掃作業をしていた市内の会社員男性が一時、意識不明の重体になる事故があった。管内で発生した毒ガス「硫化水素」を吸ったのが原因とみられる。特異な例と思われがちだが、専門家は「どこでも起こりうること。一般家庭でも注意が必要」と呼び掛けている。

 下水道とは市民が日常生活で使った水や、し尿などを地下に埋設した専用の管を使って終末処理場(同市では水資源再生センター)へ運んで浄化し、きれいになった水を川や海に流すシステム。飲食店などは油を取り除く「グリーストラップ」と呼ばれる設備を設置しているが、家庭の台所やトイレ、風呂からの汚水はそのまま流される。
 管は勾配を付けて埋められており、汚水は自然に流れるようになっている。だが、動物性の油脂など冷えると固まるものを流すと管内に付着。長年蓄積されると流れを妨げる。生ごみなども詰まりの原因となるという。
  ◆ ◆ ◆ 
 同市上下水道局下水道施設管理課によると、飲食店だけではなく、一般家庭でも詰まることは珍しくない。そこで注意しなければならないのが硫化水素の発生だ。
 大分高専の帆秋利洋都市・環境工学科教授(環境微生物学)によると、汚水中では微生物が水中の有機物を食べて増殖する。その際に酸素を必要とするため、空気の入れ換わりが少ない下水道内では酸素濃度が低下し、硫化水素を作り出す細菌が活発化する。
  ◆ ◆ ◆
 硫化水素は空気よりも重いため地下数メートルに埋設している下水道から地上にあふれ出ることはほぼない。一般的に知られていないが、硫化水素の発生自体はよくあることだという。
 硫化水素は水によく溶け、肺だけでなく目の粘膜などからも吸収される。空気中にわずか0・05%含まれるだけで死に至ることもあるとされる。帆秋教授は「下水といっても何でも流していいわけではない」と指摘。「自分たちの命を守るためにも、台所から生ごみや天ぷら油、トイレからトイレットペーパー以外のものを流さないなどのルールをしっかり守ってほしい」と話している。

油脂 詰まりの原因
 下水道管の詰まりを引き起こす油は飲食店から出されることが多い。そのため、大分市では油を取り除く装置「グリーストラップ」の設置を条例で義務付けている。
 大分市中心部で2年ほど前からラーメン店を営む男性(60)は、グリーストラップの清掃を月に2回ほどしている。「下水道が詰まらないようにする装置だとは知っていたが、詰まると硫化水素が発生する可能性があるとは知らなかった」
 以前、掃除を忘れて下水が店内にあふれたことがあるため定期的なメンテナンスを心掛けているが「1人で仕事をしているため、営業後の深夜に作業するのはつらい。これ以上は清掃の回数を増やせない」と漏らす。
 市上下水道局営業課によると、グリーストラップは油を分解・除去する装置だと勘違いし、手入れをしない経営者も少なくない。「掃除をしないとトラップ内の残飯などが腐る。建物の中で配管はつながっているため、いろいろな場所で異臭がし、害虫の発生にもつながる」
 気温が高い夏は油がさらさらしているが、寒くなると固まりやすく、これからのシーズンは詰まりが増えるという。同課は、野菜くずや残飯などがたまるバスケット部分は毎日、油がたまる水面は週1回、沈殿物がたまる底は月1回の清掃を市報などで呼び掛けている。


2018年11月1日

探(SAGURU)おおいた

大分の話題を深掘りして、さまざまな現状に迫るルポルタージュです。 木曜夕刊1面に掲載。 日ごろ表に出ることの少ない社会の裏側や弱者、困っている人、記者が疑問も思うことなどに密着取材して、現場から伝えます。

OPENCLOSE

速報ニュース

ニュースアクセスランキング 11時11分集計

ランキング一覧を見る

大分合同新聞ニュース絞り込み検索
記事の絞り込み検索が可能になりました!

期間選択
ジャンル選択
記事種別選択

大分県の天気

PM2.5情報
大分県の測定データ大分市の測定データ
大分合同福祉事業団
インターネットによる募金「かぼす募金」を受け付けています
ぶんぶん写真館
記者やカメラマンが撮影した写真を閲覧・購入できます。
大分合同新聞
販売店検索はこちら
お近くの販売店を今すぐ検索!
HELLO KITTY×大分合同新聞
おともだちカード
「大分合同新聞 HELLO KITTY」が大切なあなたの気持ちをお届けします。

全てのお知らせを見る

電子書籍のご案内

ページ上部へ戻る