全国的にも珍しい馬蹄形の石積み遺構=中津市耶馬渓町川原口の長岩城跡(中津市教委提供)
【中津】中津市教委は中世の山城「長岩城跡」(県史跡・耶馬渓町川原口)の国史跡指定に向け、5カ年の総合調査に取り組んでいる。13日午後1時から市内で調査成果を報告するシンポジウム「長岩城とは何か」を開き、専門家が価値や特徴を紹介して機運を盛り上げる。
長岩城は在地領主、野仲氏の詰め城(最終拠点)とされる。鎌倉時代初期から戦国時代後半まで使われたが、1587年に黒田長政軍に攻め落とされ廃城となった。
城の範囲は600メートル四方と県内最大規模。城内に石塁と石垣を巡らせているのが特徴で、馬蹄(ばてい)形(楕円形)の石積み遺構は全国でも珍しい構造という。
昨年度から始めた総合調査では発掘や聞き取り、文献調査などを進めており、報告書にまとめる。
担当の浦井直幸市歴史博物館学芸員は「信長、秀吉らが築いた城とは大きく異なり、独自の進化を遂げている。県内に中世の山城の国史跡はまだないので、しっかりと価値を明らかにしていきたい」と話している。
シンポジウムは市立小幡記念図書館であり、浦井学芸員が調査成果を報告。佐賀大地域学歴史文化研究センターの宮武正登教授が「日本・アジア城郭史における長岩城の存在意義」と題して特別講演し、パネルディスカッションでは「長岩城と野仲氏」をテーマに専門家が意見交換する。
先着140人。申し込みは専用フォームで。問い合わせは市歴史博物館(0979-23-8615)。