アプリを開発している猪野精一郎さん(右)と八木秀雄さん=竹田市荻町政所
【竹田】竹田市荻町の農業者と静岡県のシステム開発会社が協力し、出荷量や販売額といった農業経営に必要な指標を簡単に把握できるアプリの開発に取り組んでいる。「勘と経験」に頼りがちという農業にスマートフォンやパソコンを利用して数値に向き合いやすい仕組みをつくる。
アプリ名は「アグリバランス」。ミニトマト生産者の猪野精一郎さん(58)、トマト生産者の八木秀雄さん(47)、システム開発会社「マーズコンピュータ」が協力して改善を続けている。
アプリでは農業経営で現状を把握し、生産性を高めるための指標となる▽総出荷量▽販売額▽10アール当たりの収量・販売額―などを数値とグラフで閲覧可能。過去の実績と見比べることもできる。
現在はJAおおいた豊肥営農経済センターに出荷したデータを中心に確認できる。アプリ利用者の依頼を受け、JAがデータを送る。マーズ社が処理するため、生産者の事務作業はない。センター以外に出した分は農家自身がデータをまとめるなどしてアプリに反映できる。
グループを設けて、他の生産者とデータを共有することも可能。今後、肥料の投入量などコストの数値、勤怠管理も盛り込めないか検討している。
猪野さん、八木さんともに会社員の経験があり、データの重要さを認識。それぞれ、独自に管理をしてきた。2022年にマーズ社の菊池康浩さん(64)と出会い、アプリ開発に着手。60回以上、会議をして改善を繰り返してきた。
猪野さんは「農業には栽培、経営、人付き合い、全てが大事になる。アプリ名にはその思いを込めた」。八木さんは「数字を活用しやすくすることで、失敗を減らすことにつながれば」と期待した。
アプリの問い合わせは猪野さん(090-3603-6538)。