職員2人の当直体制を想定した防災訓練に取り組む職員=玖珠町山田の老人保健施設はね
【玖珠】玖珠町山田の老人保健施設「はね」は豪雨や地震などの災害時、現場職員の判断で避難など入所者の命を守る行動に移行する防災体制づくりに取り組んでいる。同施設は「いざというときの素早い対応につなげたい。上司の指示を待たない、いわゆる『逆ピラミッド』型の体制を目指す」と話している。
玖珠郡医師会が運営する同施設は最大82人が入所でき、通所リハビリは約30人が利用可能。被災はなかったものの、2016年の熊本・大分地震や20年7月の豪雨を経験して職員の危機意識が高まり、県防災アドバイザーでレスキュー・サポート九州(中津市)事務局長の木ノ下勝矢さんと共に、事業継続計画(BCP)の作成や訓練に取り組んでいる。
その中で特に、職員2人のみとなる夜間の対応について「従来のピラミッド型体制では、責任者と連絡が取れなかった場合に判断が遅れる」との声が上がった。木ノ下さんの提案で、現場職員の対応能力を訓練で向上させ、万一の事態に即応できる体制の構築に挑むことになった。
8月中旬、同施設であった訓練には約50人が参加。シナリオに沿って、2人一組で安否確認や医療的ケア、食事やトイレの介助などに当たった。「入所者がベッドから落ちてけがをしている」「心肺停止者が見つかった」といった不測の事態も設定され、職員は真剣な表情で対処していた。
麻生香奈看護師長と岩佐宏明介護課長は「普段、気付かない多くの課題を職員が知れたことが収穫」、麻生知己統括部長は「訓練を重ねることで自主的に動けるスタッフを育てたい」と意気込む。
木ノ下さんは「災害現場のマネジメントは管理職だけの課題ではない。職員一人一人の意識と能力を上げることが求められる」と話した。