史料館「寄須処」に運び込まれたゼロ戦のエンジンとプロペラ。右端は三ノ宮栄一さん=大分市牧の県護国神社
【大分】大分市牧の県護国神社は24日から、境内の史料館「寄須処(よすが)」で、旧日本海軍の戦闘機「ゼロ戦」のエンジンとプロペラを公開する。戦後80年の特別展示で、終戦の日にまつわる資料も併せて紹介する。
エンジンとプロペラは1989年に杵築市沖で漁師により引き揚げられ、大分予科練資料館(大分市上野丘)で屋外展示していた。昨年、閉館に伴い神社に移された。
寄須処での展示に向け、神社の文化調査部のメンバー三ノ宮栄一さん(58)=同市小野鶴=が約半年をかけてセメントなどの付着物を落とし、「当時の最高技術」というエンジンの構造を見られるようにした。製造番号も判明し、詳しい来歴が分かるかどうかを今後調べる。
八坂秀史宮司(64)は「プロペラ、エンジンの後ろには操縦席があり、生身の人間が乗っていた。その人の気持ちや時代背景を想像しながら見てほしい。自分のこととして捉えることが、戦争の抑止や戦没者を悼むことにつながる」と話した。
終戦の日関連の展示は、1945年8月15日に「玉音放送」として読み上げられた終戦の詔書のレプリカや、自決した阿南惟幾陸相(竹田市出身)の遺書の写真などを並べる。玉音放送の音声も流す。