駆除された野生動物の食肉(ジビエ)加工で出た皮を利用した名刺入れを開発した高田高の(左から)常広さん、井ノ口さん、森川さん=豊後高田市役所
【豊後高田】豊後高田市の高田高生徒が地元事業者と協力し、駆除された野生動物の食肉(ジビエ)加工で出た皮を利用した名刺入れを開発した。「捨てられる命を無駄にしない」をテーマに取り組んだ成果。イノシシとシカの皮で作った品は7色あり、同市中真玉の革製品製作・販売「馬場鞄(かばん)製作」の店舗やホームページで取り扱っている。
生徒は3年の井ノ口蓮さん(17)と常広美心(みこ)さん(17)、2年の森川大智さん(16)の3人。市の無料公営塾「うみね」のプロジェクトに参加し、同塾のコーディネーターで市地域おこし協力隊員の皆川直輝さん(24)のアドバイスを受けながら挑んだ。
ジビエを扱う料理人や鳥獣被害に悩む農家などから、市内で駆除された野生動物の8割が破棄され、残りは主に食肉に加工されていることを聞き取った。皮の有効な活用策を検討した結果、持てば長く使ってもらえる20代の社会人をターゲットに名刺入れを開発することにした。
製作は同店の馬場浩一さん(61)と共同で行い、自分たちの思いを込めたブランド名「IPRUS(アイプラス)」を考えて同校2年の小門唯花さん(16)にデザインを依頼、刻印した。
取り組みは全国の高校生が学校や地域を超えて交流する「マイプロジェクトアワード」(3月29~30日・東京)で、全国3248プロジェクトの中から選考を通過した48プロジェクトに選ばれ、会場で発表した。
2年前に移住して店舗を開いた馬場さんは「ジビエは独特の手触りなどが魅力的で、開店当初から活用を考えていた。財布やバッグなどの展開も考えたい」。
3人は「地域で無駄になっている資源でも、知恵を出すことで価値を生み出して活用できることが分かった」と話した。
問い合わせは同店(0978-25-9766)。